歯科衛生士 2024年6月号
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●臨床経験年数:28年目●1998年岡山県岡山歯科衛生専門学校(現:朝日医療大学校)卒業●48歳●勤務形態:非常勤●所属学会・スタディグループ:日本歯周病学会(認定歯科衛生士)、日本臨床歯周病学会、㈱NDL mint-seminar(インストラクター)●医院紹介:“For All Long Happiness”を理念とし、歯周治療を中心に、補綴治療、インプラント治療、矯正治療など多岐にわたる治療を行い、良い状態が長期にわたり維持できるよう徹底したメインテナンスを提供している。[キーワード]長期経過、非外科処置、根面デブライドメント、担当歯科衛生士の役割9149歳(2004年初診時)、女性右下の詰め物がはずれた補綴治療、根管治療。数年前にう蝕治療で通院するなど、症状がある時だけ歯科受診をしていた特になしなしHideko Kitagaichi石田歯科矯正歯科クリニック[広島県]歯科衛生士きます。そのため、歯科衛生士の役割は重要であり、患者さんの口腔内だけではなく、全身疾患や生活環境、心理的背景などライフステージごとの変化を把握し、永続的なサポートをしていく必要があると考えています。 また、もちろんその前提として、歯周治療の技術も不可欠です。動的治療後、再評価で歯周ポケットが残存した場合、再SRPを行うか、もしくは歯科医師による歯周外科治療を行います。しかし、やむを得ず歯周外科治療が行えない場合はSPTで管理していきます。SPTでは、一般的に超音波スケーラーを用いて歯肉縁下のバイオフィルム除去を行っていきますが、筆者の臨床では超音波スケーラーとハンドキュレットのコンビネーションでアプローチしています。 今回は、長期にわたり歯肉縁下に対するアプローチを徹底して行うことで良好な結果を得られ、また、患者さんのライフステージの変化を把握しながら口腔内の健康を維持できた症例を報告したいと思います。 患者さんは初診時(2004年)49歳女性、主訴は右下の詰め物がはずれたとのことでした。ご友人の紹介で、勤務先から通院しやすいという理由で当院に来院されました。これまで歯科医院には何か症状があるときだけう蝕治療のために受診されていました。 主訴である7の応急処置後、歯科医師より歯周治療が必要であることの説明を受け、医療面接と資料採得をJune 2024 vol.48全身的既往歴喫煙歴 歯周治療のゴールとは、歯周基本治療終了後、口腔内の健康と機能を長期的に維持させることです。咀嚼できる口腔状態を維持することで、QOLの向上や健康寿命の延伸につながってい今回症例を紹介してくれるのは……北垣内英子さん初診時の患者の基本情報年齢、性別主訴歯科的既往歴はじめに歯周炎はかなり進行していたものの、まったく認識していなかった患者さん症例をシェアして、ステップアップ!誌上歯肉縁下に対するアプローチを徹底し、患者さんの生活背景にも配慮した16年経過症例

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