●臨床経験年数:10年目●2014年東京歯科大学歯科衛生士専門学校卒業●32歳●勤務形態:常勤●所属学会・スタディグループ:日本歯周病学会、ジャパンオーラルヘルス学会●医院紹介:一本の歯から全身の健康へ。患者様のニーズに寄り添い、究極のかかりつけ医を目指しております。[キーワード]歯周病原菌検査、口腔内細菌叢、歯周治療87July 2024 vol.48 歯周炎は、バイオフィルムが主原因となって発症する慢性炎症性疾患です。バイオフィルムには、さまざまな病原性の異なる細菌が存在します1。そのため、歯周治療の計画立案には、Manami Suzuki虎ノ門ヒルズ駅前歯科/神田橋デンタルオフィス[東京都]歯科衛生士口腔内細菌叢が一人ひとり異なり、病原性の強さに違いがあると理解することが重要です。実際、歯科衛生士として日々歯周治療に携わるなかで、プラークコントロールがどんなに良好でも歯周炎が進行してしまう患者さんがいれば、口腔衛生状態が不良でも歯周組織の破壊がほぼみられない患者さんもいるという状況にたびたび遭遇します。 今回は、PCR法による歯周病原菌検査システムを用いて歯科医師とともに治療計画を立案した症例を紹介します。その中で、歯科衛生士として注視すべき点について考察を加えたいと思います。 2020年、当時36歳男性の患者さんが初診で来院されました。主訴は6で繰り返し起こる腫脹とのことでした。 初診時の資料・検査結果を示します(次ページ図1~3、表1)。口腔内の清掃状態は良好でしたが、数ヵ所の裂溝に切削不要の初期う蝕がありました(次ページ図1)。また、66の口蓋側に著しい歯肉退縮を認め、排膿も確認できました(次ページ図1)。パノラマエックス線写真からは、全顎的に歯根長の1の3の性平性骨が認められ、6666には、根尖部付近までの高度な平性骨が認められました(次ページ図2)。歯科的既往歴から、歯周基本治療、良好な口腔衛生状況、および年齢をふまえて、これほどまでに急速な歯周組織破壊が起こってしまったことに侵襲性歯周炎が疑われまし36歳(2020年初診時)、男性6の出血・腫脹5年前から歯肉の腫脹を繰り返していた。当時通院していた歯科医院では、歯周基本治療(SRP/口腔清掃指導など)後に抜歯を勧められたが、希望せず、その後SPTを3ヵ月ごとに行い、経過観察を続けるも、たびたび再発を繰り返していた。2ヵ月前から、666にも腫れや動揺が感じられたため、当院を紹介された。今回症例を紹介してくれるのは……症例をシェアして、ステップアップ!鈴木まなみさん初診時の患者の基本情報年齢、性別主訴歯科的既往歴はじめに侵襲性歯周炎が疑われる患者さんが来院誌上歯周病原菌検査を実施し、口腔内細菌叢に注目して歯周治療を進めた一症例
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