● 筆談、手話、コミュニケーションボードなどの目で見てわかる方法を用いて意思疎通● 字幕や手話などの見やすさを考慮して座席配置を決める● 窓口で順番を知らせるときには、アナウンスだけでなく身振りなどによっても伝える● 難聴者がいるときには、ゆっくりはっきりと話したり、複数の発言が交錯しないよう● 言語障害により聞き取りにくい場合にわかったふりをせず、内容を確認して本人の耳がきこえにくい・ にも安心して通ってもらう 68を行うにしたりする意向に沿うようにするIllustrator:おおたきょうこ石塚美沙子Misako ISHIZUKA歯科衛生士手話通訳者(文献2より引用)表1 聴覚障害者に対する合理的配慮の提供の例と事業者が、 ②その事務・事業を行うに当たり、 ③個々の場面で、障害者から「社会的なバリアを取り除いてほしい」旨の意思の表明があった場合に、④その実施に伴う負担が過重でないときに、⑤社会的なバリアを取り除くために必要かつ合理的な配慮を講ずること、とされています1。合理的配慮の内容は、障害特性やそれぞれの場面・状況に応じて異なるとされ、聴覚障害者への具体的な対応としては表1のような例が示されています。私たちは、ますます患者さんに合った配慮を行っていかなければなりません。そう、今までのような「感覚で行っていた対応」ではなく、「正しい知識をもって対応」していくことが必要なのです。 また、障害がある方だけではなく、「耳の遠い患者さん」も歯科医院には多いのではないでしょうか。読者の皆様のなかには、耳がきこえにくい・きこえない患者さんへの正しい対応について答えを見出せていないという方もおられると思います。本稿では、聴覚障害の理解を深め、明日からできる対応方法のくふうを紹介します。TOPIC「なんとなく」でしてきた対応に、知識が求められるように 突然ですが、「手話」や「聴覚障害者」と聞いてどのようなことを思い浮かべますか? 歯科医院に来院されている患者さんや、手話を題材にしたドラマや映画を思い浮かべた方も多いのではないでしょうか? 「聴覚障害者」というと、耳がまったくきこえないイメージを抱く方も多いと思いますが、少しはきこえる、など「耳がきこえにくい」場合も含まれます。 「障害者」といえば、SDGs。SDGsは、2015年に国連のサミットで全会一致で採択され、“誰一人取り残さない”持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のため2030年までに達成することとして17の国際目標が掲げられています。このなかの、「3.すべての人に健康と福祉を」「10.人や国の不平等をなくそう」は、間違いなく医療従事者として意識すべきところなのではないでしょうか? さらに、国内では「障害者差別解消法」という法律の合理的配慮の提供について、2024年4月より全事業者が努力義務から義務化されました。具体的には、①行政機関等
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