●臨床経験年数:36年目●1989年兵庫県立総合衛生学院歯科衛生学科卒業●56歳●勤務形態:非常勤●所属学会・スタディグループ:日本ヘルスケア歯科学会(認定歯科衛生士)●医院紹介:予防可能な疾患であるう蝕と歯周病を予防し、患者さんに快適な生活を送っていただけるよう支援することを目標にしている。83August 2024 vol.4833歳(2008年初診時)、女性Eが痛い1~2年前からブラッシング時に出血アレルギー(スギ、ヒノキ、ラテックスフルーツ症候群)喫煙経験なし穏やかでこちらの話をよく聞いてくださるが、器用さに少し欠けるところがある今回症例を紹介してくれるのは…… 当院は兵庫県神戸市灘区の住宅街に位置していて、ほとんどの患者さんは徒歩あるいは電車で1駅くらいのとこAkemi Nomura大西歯科[兵庫県]歯科衛生士ろから来られる、地域に密着した歯科医院です。そのため、かかりつけ歯科医院として主訴の治療を行うだけでなく、長期にわたってお口の健康を守るために、う蝕予防や歯周治療、メインテナンスに力を入れています。 患者さんがいつまでも快適な生活を送るために、歯周治療では単に歯周炎を治すだけでなく、歯肉退縮や知覚過敏をできる限り少なくする低侵襲な歯周基本治療が求められます。今回は、当院で行っている超音波スケーラーを活用した低侵襲の歯周基本治療による症例を提示したいと思います。 患者さんは初診時33歳の女性です。既婚者でお子さんはいません。近隣の歯科医院でEを抜髄してもらったものの、まだ痛いとの主訴で来院されました。歯周病に関しては、これまでの歯科医院では何も指導されたことがなく、歯石除去だけが行われていたとのことでした。1~2年前から急にブラッシング時に出血し、食片が詰まるようになってきたそうです。 次ページ図1~3が初診時の状態です。プラークと歯石が多量に沈着し、歯肉の炎症が著しく、歯列にはフレアアウトが生じて歯間離開がみられます(次ページ図1)。デンタルエックス線写真からは歯肉縁下歯石の沈着、歯槽骨の吸収がわかります(次ページ図2)。炎症も強く、歯石が多いため、プロービング値は多少の誤差があると[キーワード]UP-SRPテクニック、メインテナンス、長期管理症例をシェアして、ステップアップ!野村朱美さん初診時の患者の基本情報年齢、性別主訴歯科的既往歴全身的既往歴喫煙歴性格などはじめに歯肉の腫脹が著しく、歯周炎が進行していた誌上UP-SRPテクニックとメインテナンスによって16年間管理している一症例
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