歯科衛生士 2024年9月号
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件数50口腔ケアの依頼が増えてきた792015102004200820122016September 2024 vol.4820202023図1 訪問依頼内容の変遷2011年前後から芸能人が誤嚥性肺炎で他界したという報道(2009年山城新伍、2012年18代目中村勘三郎など)が見られるようになったためか、口腔ケアの必要性が人々に周知されてきたように思う。口腔ケア歯の不具合年度ターミナルケア食事ができない歯科衛生士が訪問口腔ケアの冊子を作り、患者・家族・介護者に周知を図る努力をした。義歯の不具合その他“やる気・使命感”だけでは、うまくいかない?! 当院は1992年に地域の歯科医院として開院し、1996年より歯科訪問診療・訪問口腔ケアを行っています。 当初は歯科訪問診療の依頼は非常に少なく「歯・歯ぐきが痛い」「歯が動いている」「入れ歯が合わない」など疼痛緩和を求めるものでした。当院の方針としてCURE&CAREを掲げていましたが、訪問口腔ケアを提示しても患者さんや家族には受け入れられず、もどかしい時代もありました。地域での講演活動のほか、資料を配布して口腔ケアの大切さを伝え続けました(下写真)。 担当した患者さんの訪問口腔ケアにより原因不明の熱発を減少させることで体調の安定を図れることがわかると、担当医師から訪問口腔ケアの依頼を受けるようになりました。その結果、年々、歯科訪問診療の依頼数が増え、口腔ケア単独の依頼もいただけるようになりました(図1)。 訪問口腔ケアの主訴は、「口を開けてくれない(歯磨き拒否)」「痰がからんでいる」「お口のなか・唇の乾燥がひどい」「口臭が強い」など少しずつ変わりはじめました。それは、介護者が要介護者の口腔に意識をもつようになったためと考えています。さらに、医療・介護専門職から歯科医師・歯科衛生士に連携を求めてこられるようになってきました。近年は、高齢者が増加し、訪問口腔ケアの依頼により外回りの仕事が増え、口腔機能に関するものやターミナルケアを求められるようになっています。 日々患者さんと接することで、院内の口腔ケアとは異なることがわかってきました。当初、自分もそうであったように、強い熱意と書籍の知識で訪問口腔ケアに出かけても思うような成果が出せず、患家や施設に嫌な雰囲気を残して帰ることもあります。そこで今回は、院内の口腔ケアとどう異なるか、訪問前に知っておくと少し気持ちが軽くなる情報を在宅編・施設編の2号にわたってお伝えしたいと思います。 こと。

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