歯科衛生士 2024年9月号
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●臨床経験年数:23年目●2002年徳島歯科学院専門学校卒業●43歳●勤務形態:常勤●所属学会・スタディグループ:日本歯周病学会(認定歯科衛生士)、一隅会●医院紹介:徳島県美馬市で、メインテナンスを中心とした歯科医療(メンテ患者数:成人2,192名、小児1,244名)を実践しています。Saki Kasuga川原歯科医院[徳島県]歯科衛生士原則は変わらないことから鑑別は重要でないものとされています。侵襲性歯周炎には、全身的に健康であるが急速な歯周組織破壊が起こる、細菌性プラークの付着量は少ない、発症年齢は若いという明らかな特徴があります。また、家族集積性を多く認め、二次的な特徴として生体防御機能、免疫反応の異常といった宿主因子の影響により、歯周治療の予後不良となりやすいといわれています2。そのため、私たち歯科衛生士においては、歯周病の病因論を念頭に全人的な歯科臨床に取り組んでいることと思います。 当院でも、それらを念頭に置きつつ、侵襲性歯周炎を有する患者さんに対応し、できる限り良好な予後になるよう努力しています。そこで、筆者が担当した侵襲性歯周炎患者の一例を紹介します。本症例の患者さんは積極的な治療介入を希望されず、歯周基本治療までの限局的な介入にとどまりましたが、SPTにて定期管理を継続、安定した経過をたどっています。なお、患者さんのお子さんは幼少期から定期管理を続けており、成人後は筆者担当によるメインテナンスに移行し、現在まで侵襲性歯周炎を疑う所見はなく健康な口腔機能を維持しています。今回は、本症例をもとに侵襲性歯周炎をともなう家族単位でのかかわり方、また家族集積性を回避できたことについて報告させていただきます。[キーワード]侵襲性歯周炎、家族集積性、継続管理93職業家族構成 近年、歯周病の新分類では侵襲性歯周炎が慢性歯周炎に含まれ1、治療の今回症例を紹介してくれるのは……September 2024 vol.4834歳(2004年初診時)、男性メインテナンスをしたい特記事項なし特記事項なし蓄積本数5万5千本(10本/1日)メインテナンスを希望され来院されるも、特別な訴えはない。本患者以外の家族は当院のメインテナンス患者である公務員妻、子3人の計5人家族初診時の患者の基本情報年齢、性別主訴歯科的既往歴全身的既往歴喫煙歴現病歴はじめに症例をシェアして、ステップアップ!春日早紀さん誌上侵襲性歯周炎に対して家族単位でかかわっている一症例

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