歯科衛生士 2024年10月号
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●臨床経験年数:8年目●2017年大阪歯科大学附属歯科衛生士専門学校卒業●29歳●勤務形態:常勤●所属学会・スタディグループ:日本成人矯正歯科学会、dh coax●医院紹介:日本矯正歯科学会の認定医の院長のもと、成人矯正を主体とした治療を行う都心に位置する矯正歯科専門医院。81October 2024 vol.4825歳(2022年初診時)、女性前歯部の叢生、口元の突出感限局型慢性歯周炎ステージⅡグレードB他院にて全顎的なSRPの途中で通院中断特記事項なしなしなし看護師 矯正治療を希望される患者さんは、ほとんどと言っても過言ではないほKotoko HayashiK's 矯正歯科[大阪府]歯科衛生士ど、早期の矯正治療開始を望まれます。その背景には、矯正治療は長期間にわたる治療のため、早くスタートを切り、早くきれいな歯並びを手に入れたいという心情があるのではないかと思われます。一方で、当院ではその心情と対照的に、患者さんがより快適に矯正治療を終えられるよう、「う蝕や歯周病のリスクを抑えた状態になるまで矯正治療を開始しない」という方針を掲げています。 本稿では、慢性歯周炎に罹患しているにもかかわらず、早急に矯正治療を開始したいと望む患者さんに対して行った、矯正治療をすぐに開始できない理由を理解してもらうための取り組みについて詳述します。また、病状の安定を図ることで、安全に矯正治療を開始するための準備を進める過程と、治療開始後の経過について、患者さんの事例を通して報告します。 本症例の患者さんは初診時25歳女性で、2~3年前から前歯部の叢生と口元の突出感が気になり、矯正治療を望まれていました。 正面観の口腔内写真(次ページ図1)では浮腫性の歯肉がみられ、バイオタイプはシンスキャロップの状態(歯肉・歯槽骨の形状が薄い)が読み取れます。また、歯肉の色から判断すると慢性的な炎症が見受けられます。歯肉縁下歯石の沈着も顕著に見られ、プ今回症例を紹介してくれるのは……林 琴子さん[キーワード]矯正治療、歯周治療、コミュニケーション症例をシェアして、ステップアップ!初診時の患者の基本情報年齢、性別主訴現病歴歯科的既往歴全身的既往歴喫煙歴服薬歴職業はじめに歯周病のリスクが高い患者さん誌上矯正治療開始前に、歯周治療の必要性を理解してもらうために取り組んだ一症例

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