歯科衛生士 2月
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地域包括ケアシステムに、歯科もかかわることが求められている!歯科医院をとりまく地域に、今どのようなシステムが敷かれているのか、そこに歯科医院はどのようにかかわることが求められているのかを示します。 の連携Illustration:山田タクヒロかかりつけの歯科医院を持ち、定期的な歯科受診と口腔保健を充実させることは、健康で豊かな老後を過ごすための条件です。また、歯周病予防、歯の喪失予防、口腔機能の維持改善は、糖尿病などの生活習慣病や要介護者の栄養状態と関連していることが医科においても周知されてきており、医科と歯科の連携はますます重要となってきています。また、かかりつけの歯科医にとって、在宅歯科医療は歯科医院での歯科医療の延長上にある医療であり、治療や療養の場の違いを理解しながら地域医療連携などを基本にかかわることが大切です。本稿では、歯科衛生士が在宅歯科医療に参加するために必要な地域連携について述べたいと思います。細野 純Jun Hosono細野歯科クリニック院長恒石美登里Midori Tsuneishi日本歯科総合研究機構主任研究員高齢化によって、歯科医院に通えなくなる患者さんが増える! 日本の超高齢化は、進展状況に地域差があるものの、2025年には団塊の世代が75歳以上となり、3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上となります。75 歳以上の高齢者は、複数の慢性疾患を抱え、要介護の状態になることも多く、医療と介護の両方を必要としているケースが多くなります。歯科医院を受診する患者さんにおいても、すでに3人に1人以上は高齢者となっており、今後通院が困難となる患者さんも多くなることが想定されます。地域では、医療と介護を一体化させた改革が進められている! 国は、社会保障制度改革の一環として、医療・介護サービスの一体的な改革を進めています。具体的には、左図のように、高齢者が住み慣れた生活の場で可能な限り必要な医療・介護サービスを受けられ、安心して自分らしい生活を送れるように、地域で「医療」「介護」「住まい」「生活支援」「予防」を切れ目なく、継続的に一体的に提供する地域包括ケアシステムの確立を目指しています。病院病床の機能分化の推進や、急性期医療から早期に、かつ円滑に在宅などへの復帰を可能とする体制整備、在宅医療や在宅サービスの充実、在宅などでの看取りの体制強化など、医療と介護の一体的改革が進められることになり、今まさに、地域医療は大きな転換期を迎えているといえるでしょう。地域包括ケアシステムに歯科医院のかかわりが求められている! この地域包括ケアシステムの中に、地域の歯科医院も位置づけられています。地域で、病院や医科診療所、訪問看護ステーション、介護施設などと連携しながら、歯科医院における外来診療とともに、歯科訪問診療を行うことが必要です。かかりつけ歯科医は、在宅等で療養する高齢者の生活機能の低下予防、QOLの向上などを目標として、病院歯科などの高次歯科医療機関との連携を基本に、歯科疾患治療や口腔機能の維持管理、食支援などを、多職種と連携しながら継続的に提供することが求められます。もちろん、歯科衛生士の皆さんも、これからの地域医療や介護の改革、地域包括ケアシステムについて、より幅広く理解することが大切です。51歯科衛生士 February 2015 vol.39

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