歯科衛生士 2015年7月
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根拠に基づく小児う蝕予防最前線! 「フッ素を塗ってむし歯にならないようにしてください」「むし歯予防にキシリトールガムを食べさせているから大丈夫です」――当院を訪れる保護者の方は、お子さんの歯について、よくこのようなことをおっしゃっています。 フッ化物で歯を強くしても、それだけでう蝕が防げるわけではありませんし、代用糖であるキシリトールの再石灰化促進作用は、まだはっきりとは証明されていません。こうした表面的な、ともすれば誤った知識を一般の人がもってしまっているのは、私たち歯科医療者側にも責任があると思います。 う蝕を発症するリスクは、患者さんごとに異なります。患者さん自身がう蝕発症のメカニズムを理解し、リスクの診断を受け、根拠に基づいた指導を受けてこそ、納得のいくう蝕予防が実践できるのではないでしょうか。 そして、う蝕予防の主役は、患者さんと向き合う時間の長い歯科衛生士です。そのため歯科衛生士の皆さんにも、しっかりとした知識と根拠に裏付けられた指導が求められます。 そこで、今回から4回にわたる「根拠に基づく小児う蝕予防・最前線!」シリーズでは、小児歯科の分野でご活躍中の先生方に、知識と根拠に裏付けされた最新の予防について、それぞれの回で述べていただきます。 第1回は、鹿児島で開業されている奥 猛志先生です。奥先生は、自らが考案した「ステファナリシス」という、う蝕リスク診断ソフトをもとに、患者さんごとにカスタマイズした予防指導を行っています。個々の患者さんのリスクに応じたステファンカーブを作成して指導に活かすという考えは、個人のリスクに基づいた根拠のある指導の一例として、きっと皆さんの参考になるでしょう。吉田昊哲 Hironori Yoshida南山手小児歯科院長シリーズナビゲーターこれからのう蝕予防に求められる歯科衛生士の役割とは糖細菌宿主第3回細菌の面からのアプローチ 「ミュータンス菌の性格を知ろう」花田信弘 鶴見大学教授第4回糖の面からのアプローチ 「糖と代用糖を科学する」藤原 卓 長崎大学教授第2回宿主の面からのアプローチ 「フッ化物塗布を極める!」眞木吉信 東京歯科大学教授う蝕UNDER20特集シリーズ※第2~4回のテーマは変更となる場合があります。第1回う蝕リスク全体の視覚化 「ステファンカーブを指導に活用」奥 猛志 おく小児矯正歯科院長27歯科衛生士 July 2015 vol.39

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