歯科衛生士 2015年7月
5/8
わが国は、すでに超高齢社会に突入しています。今後の数十年間、医療・介護・福祉のサービスを要する高齢者は増加すると思われますが、一方で、医療・介護・福祉にかかる費用やマンパワーなどは不足し、きわめて厳しい時代を迎えると考えられています。その厳しい時代のまっただなかに高齢者となる筆者自身も含め、これからは、高齢者といえども、自宅でできるだけ自立した生活を送ることが理想と考えられています。 そういったサービスをできるだけ受けずに生活できるようにする“介護予防”の観点からも、高齢者の健康寿命の延伸にかかわる要因として、いま注目されているのが、フレイルティ(Frailty=虚弱)の概念です。フレイルティとは、自立した生活をしている高齢者と、医療や介護が必要な高齢者との中間的な段階を指し、日常生活の中での生理的能力あるいは生活能力の予備能(身体機能、認知症を含む精神機能、社会状況)が低下している状態をいいます。 フレイルティの状態にあると、病気の発症や要介護状態、あるいは死亡などに陥りやすいと言われており、また以後の疾患の回復状況や、リハビリテーションの予後にも影響していると考えられています。 ここまで聞いて、「私の担当するあの患者さん、もしかしたら……」と思い当たるフシはありませんか? 実は、患者さんが定期的にメインテナンスで通院する歯科という場は、高齢者のフレイルティに気づき、予防する絶好の場です。本稿では、この「フレイルティ」に歯科がどうかかわっていけるのか、またいくべきなのかを、医師、歯科医師、歯科衛生士がそれぞれ解説します。51歯科衛生士 July 2015 vol.39
元のページ