歯科衛生士 2017年1月
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必要なのは、“歯科で把握しておくべき”情報を漏れなくおさえておくことまず、歯科医療従事者として、何をどこまでおさえておかなくてはいけないのかを考えてみましょう。 皆さんは、日々の臨床の中で、患者さんの有病率が増加傾向にあることを実感されていると思います。そのため、患者さんの全身疾患について、医療面接をする機会も多いことでしょう。 でも、実際に患者さんへ医療面接をするとき、右のような会話をしていませんか? ……この会話で、患者さんの何がどう大丈夫なのか確認できていると思えるでしょうか? 大切なのは、患者さんの病状を理解して「大丈夫」と考えられているかどうかです。患者さんは何をもって「大丈夫」と言っているのでしょうか? それには以下のようにさまざまなパターンが考えられます。①定期的に健康診断を受け、その結果何も問題ないという「大丈夫」②持病があるが内科に通院し、コントロールできていて「大丈夫」③持病があって内科に通院していても、 コントロールできていないが「大丈夫」④持病があって通院していないにもかかわらず「大丈夫」⑤今まで健康診断を受診せず、変調もなかったから「大丈夫」 など これだけ「大丈夫」の意味は異なりますから、問診内容や評価方法を変える必要があります。たとえば、腎疾患や不整脈は定期健診の心電図や血液検査でスクリーニングしているので、どんな検査を受けているのかを聞いてもよいでしょう。また、早く歯科治療を受けたい気持ちから「大丈夫」と言っている場合もあるため、患者さんの性格を含め総合的に考えることが必要です。チェアサイドにて―― 上述のとおり、患者さんの病状を把握したうえで歯科診療に臨むことが大切です。その際必要なのが、歯科衛生士の皆さんが患者さんから聞き出してくれたさまざまな情報です。情報収集にあたっては、疾患についての最低限の基礎知識と、それが歯科治療にどのように関係してくるのか、安全な歯科治療を行うためにはさらにどんな情報を聞き出せばよいのかということを頭に入れて行ってほしいです。病状の理解のためにおさえるべきポイントは下記のとおりです。病状を理解するためにおさえるポイント①疾患の重症度 ②疾患をコントロールできているか そして、「患者さんの病状が悪化しているかもしれない」と感じ取ることも大切です。たとえば、顔色が悪かったり呼吸が苦しそうだったりしたら、治療への緊張や麻酔の影響などにより血圧が上昇/下降しているかもしれません。普段から患者さんを観察し、急変のサインに気をつけましょう。 本特集では、安全に歯科治療を遂行するために、できる範囲で患者さんの病状を把握することを目標に、おさえるべきポイントを一緒に見ていきましょう。次ページから、おさえるべき情報&確認事項を疾患別に紹介!患者さんの「大丈夫」で安心していませんか?病状の把握には歯科衛生士の情報収集がカギ!◯◯さん、血圧が高いようですが、大丈夫ですか?先生!◯◯さん、大丈夫とおっしゃっていますから、大丈夫だと思います!(患者さんの心の声)今朝は特に血圧が高かったけど、まぁ歯の治療くらい大丈夫だろうはい、大丈夫です59歯科衛生士 January 2017 vol.41

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