歯科衛生士 2019年6月
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の選び方 るかも!?義歯洗浄剤の選択が今まで以上に重要になっているワケ前畑 香 歯科医師歯科専売用義歯洗浄剤を消費者が買える時代に 現在販売されている義歯洗浄剤は、販売ルートにより、歯科専売用義歯洗浄剤を歯科医院で販売する「歯科ルート」と、市販されている義歯洗浄剤をドラッグストアやスーパー等の商店で販売する「一般ルート」に分かれます1)。歯科専売用義歯洗浄剤は、「歯科ルート」で紳士協定(団体・個人の間で、互いに相手を信頼して公式手続きを踏まずに取り決めた約束)に基づき販売されるため、「一般ルート」であるドラッグストアやスーパー等の商店から販売されることもなければ、一般の消費者が直接購入することもできませんでした。 ところが近年、Amazonや楽天市場などのインターネットサイト上で歯科医院専売品を取り扱う仲介業者が小売を始め、消費者が歯科専売用義歯洗浄剤を直接購入することができるようになりました。歯科専売用義歯洗浄剤を自由に使えてしまうリスク 消費者が市販用・歯科専売用義歯洗浄剤を分け隔てなく簡単に購入できるようになったことは、けっして喜ばしいことではなく、むしろわれわれは注意を払わなくてはいけません。 本来、歯科専売用義歯洗浄剤の多くは、歯科医院で販売されることを前提とし、その製品を使用するにあたって歯科医師・歯科衛生士の義歯清掃指導がなされることを想定して製造されています。そのため、歯科専売用義歯洗浄剤の中には、市販用義歯洗浄剤と比較して、主成分や有効成分が強いものもあれば、特殊成分が配合されているものもあります。また、特殊な義歯材料に配慮したものもあれば、義歯材料によって使用制限されたものもあります。 つまり、インターネットで簡単に歯科専売用義歯洗浄剤が購入できるデメリットとして、消費者がパッケージや添付文書に記載されている成分や使用注意事項について誤った解釈のもとで義歯洗浄剤を使用した場合、義歯材料の物性変化等のトラブルが起きる可能性があることを理解しなければなりません。専門家としてより高度な指導が求められる このように、さまざまな義歯洗浄剤が販売される状況でこれから歯科医療従事者に求められることは、義歯洗浄剤の種類を把握するだけではなく、義歯洗浄剤の主成分や有効成分に関する洗浄メカニズムについて理解し対処していくことだと考えます。そこで本稿では、“義歯洗浄剤成分の洗浄力と洗浄効果”に関して内容を絞り、解説したいと思います。前畑 香Kaori MAEHATAナカエ歯科クリニック[神奈川県]院長・歯科医師神奈川歯科大学全身管理医歯学講座非常勤講師Illustration:早川乃梨子松下調子Nariko MATSUSHITA株式会社ニッシン化工品グループ化工品開発49歯科衛生士 June 2019 vol.43

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