メインテナンスの間に起きたこととは……4AERHTCP歯周炎の治癒のパターン歯周炎に罹患した歯をSRPした場合、以下の治癒パターンが順次起こる可能性があります。術前の状態(上顎中切歯の歯周炎、図5a)歯周炎により歯根膜がなくなると、その部位のTDBV(歯依存骨)も喪失するが、TIBV(歯非依存骨)はなくなるとは限らない。歯根膜の喪失にともないTDBVも同時に消失するため、上顎中切歯の場合、唇側では水平性の骨吸収が、口蓋側ではTDBVの喪失とともに炎症の波及によりTIBVも一部消失して垂直性の骨吸収が生じる。ポケットからサルカス(歯肉溝)へ1歯肉の適合(アダプテーション)2デブライドメント(根面から感染を除去すること)によって、病的な状態(悪いポケット)は理論上深いサルカス(良いポケット)に変わる。深いサルカスが維持されると、歯肉の炎症が消退し、炎症により緩んだ(消失した)歯肉コラーゲン線維(主に輪走線維)が増え、歯肉が引き締まる。これにより歯根周囲にプローブが挿入できにくくなる。プロービング値に変化はないが、根面をSRPしたことで細菌叢が変わり、歯周病原因菌がなくなった(少なくなった)。歯肉の炎症が消退したことで、歯肉輪走線維がより多く、より健全になることにより、歯肉が引き締まった(プローブが入りにくくなった)。(前編P.43より再掲)図5b歯科衛生士 March 2020 vol.4454
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