歯科衛生士2021年7月号
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濃度だけじゃない!ppm1特集 ご存じのとおり、2017年3月に、フッ化物イオン濃度(フッ素濃度)の上限を1,500ppmとする高濃度フッ化物配合歯磨剤の医薬部外品としての市販が、厚生労働省により認められました。各メーカーからも多くの製品が販売されるようになり、一般の生活者がセルフケアで用いる歯磨剤の選択肢の幅が広がりました。患者さんからも濃度の違いについて聞かれたり、高濃度フッ化物配合歯磨剤を勧める機会も増えたのではないでしょうか。しかし、たとえ高濃度のフッ化物配合歯磨剤を使用していたとしても、その使用方法が適切でない場合には、効果が十分に得られていない可能性があります。 筆者が留学中にスウェーデンのイエテボリ大学カリオロジー科で行った研究1)では、ペーストタイプのフッ化物配合歯磨剤(1,500ppm)の量(1cmまたは2cm)とブラッシング時間(1分または2分)、すすぎに使用する水の量(10mLまたは20mL)の3要因を組み合わせた8通りのブラッシング方法のうち、ブラッシング後60分までに歯間部におけるフッ化物濃度がもっとも高かったのは「歯磨剤2cm、2分間のブラッシング、10mLの水でのすすぎ」で、「歯磨剤1cm、1分間のブラッシング、20mLの水でのすすぎ」がもっとも低いフッ化物濃度を示しました(図1)。このことから「フッ化物配合歯磨剤の量」「ブラッシング時間」および「すすぎに使用する水の量」が、ブラッシング後の歯間部フッ化物濃度に有意な影響を与えることを示唆しているといえます。 そこで今回は、フッ化物配合歯磨剤の効果を左右する要因について掘り下げていきます。“効果的な使い方”を知って、患者さんへの指導に活かしましょう!フッ化物の効果が得られるかどうかは、その“使い方”にあり!石塚洋一 歯科医師・東京歯科大学講師効果を左右する「使い方」 フッ化物配合歯磨剤 24歯科衛生士 July 2021 vol.45

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