歯科衛生士2021年7月号
4/9

Illustration:大野文彰 消費社会の現代において、私たちの周りには多くの飲料メーカーの過大とも思われるコマーシャルが溢れています。そしてその多くが、自社製品の継続的な摂取が健康増進につながることを匂わせながらアピールしています。しかし、その際、歯科的なリスクは忘れられてしまうことが多いようです。 子どもの頃の私は、「ダイエットコーラを飲めば痩せる」と勘違いするほど、宣伝文句をそのまま受け取っていました。健康によさそうなコマーシャルをしている飲み物は、飲めば飲むほどよいと思っていたのです。同時に、「むし歯になったら歯医者さんで“直して”もらえばいい」と思っていました(まるで、おもちゃが壊れたときと同じように)。幼いながらに、う蝕に罹患した歯質は歯科医院に行き治療を受ければ元通りになると思っていたのです。おかげで歯科衛生士学校に入学する頃には、何本もの歯を抜髄し、治療経験のない歯は8本のみというありさまでした(歯科衛生士としてとても恥ずかしい話ですが……)。 酸蝕症やう蝕を語るにおいて、常用飲料との関係が強いことは歯科医療従事者のなかでこそよく知られていますが、一般には知られていないことも多くあります。こうした歯科界の常識と一般の方々の情報の架け橋となるのは歯科衛生士であると考えます。 本特集では、患者さんに興味を持ってもらいやすいデータとして、筆者が測定した各種市販飲料のpHと糖度を紹介します(後編掲載)。あわせて各飲料が酸蝕症やう蝕のリスクにどのように影響するかを桃井先生・中嶋先生に解説いただきます。読者の皆さまの臨床に本特集をご活用いただけると幸いです。私たちは常用飲料にひそむ酸蝕症・う蝕のリスクを伝えられているでしょうか?吾妻真美 白石矯正歯科・歯科衛生士吾妻真美Mami AZUMA白石矯正歯科[東京都]歯科衛生士桃井保子Yasuko MOMOI鶴見大学 名誉教授歯科医師中嶋省志Shoji NAKASHIMA元 東京医科歯科大学特任講師P.45私たちは常用飲料にひそむ酸蝕症・う蝕のリスクを伝えられているでしょうか?P.46市販飲料を調べて気づいたことTopic 1 「毎日飲もう」「こまめに摂ろう」な常用飲料Topic 2 「○ヵ月から」「乳幼児向け」なこども飲料P.48“酸蝕症”と“う蝕”のちがいを確認しよう飲料のpH・糖度と歯科的リスク市販飲料のpH・糖度一覧患者指導上のポイント&よくある質問にお答えします患者さんに興味を持ってもらいやすい環境作りをはじめよう前編(今号掲載)後編(次号掲載)常用飲料と酸蝕症&う蝕 [前編] を調べてみた45歯科衛生士 July 2021 vol.45

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る