歯科衛生士2021年8月号
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ガイドライン&文献データベースでできる!成田大輔 Daisuke NARITAなりた歯科・矯正歯科[兵庫県]院長・歯科医師 日本歯周病学会歯周病専門医2020年6月号では、DHが臨床上の疑問(クリニカルクエスチョン:CQ)の答えを自分で見つけるための基本的な文献検索スキルを特集で解説しました。本連載ではその実践編として、実際の症例を通してDHの臨床でよくみられるCQの文献検索に取り組みます。Illustration:寺田久美連載内で紹介している文献を、web上で見ることのできるものはリンクつきでまとめました。https://www.quint-j.co.jp/web/shikaeiseishi/index.phpCQ14 歯周病は細菌性プラークによって引き起こされますが、咬合は歯周病の進行にかかわる因子の1つであると考えられています。後述のとおり、歯周病の進行と咬合の関係については100年以上議論され続けていますが、未だ明確な結論は得られていません。現在では、これまでのさまざまな研究から、咬合のみが原因で歯周病の発症や進行は起こらないものの、歯周病に罹患した歯に不適切な咬合や許容範囲を超える咬合由来の外傷が加わると歯周病が増悪する可能性があると考えられています。歯周病を治療していくうえで、このような不適切な咬合や咬合由来の外傷を見極め、必要に応じてコントロールしていくことは大切です。 今回は、歯周治療を行うDHが理解しておきたい歯周病と咬合に関する知識を得るために、文献検索を行っていきましょう。DHが知っておきたい歯周病患者の咬合に関するエビデンス歯周病と咬合にはどんな関係があるの?CQ「歯周病と咬合の関係は?」 今回の患者さんは60代男性です(図1)。前歯部は歯肉の炎症および重度の骨吸収を認めます。全顎的に歯の動揺を認め、咬合時に上顎前歯部にフレミタスと咬合痛を認めます。また、患者さんは臼歯部においても歯の動揺による咬合時の違和感があるとのことです。このように、重度の歯周炎に罹患している歯には動揺が生じ、動揺によって咬合時の痛みや違和感を生じることがあります。歯周病に咬合が関与し、急速に進行してしまったのでしょうか?この患者さんは重度に歯周病が進行していて、全顎的に歯の動揺が認められるなぁ。患者さんは咬合時の痛みを訴えているけど、咬合によって歯周病が悪化してしまったのかな?歯周病と咬合にはどんな関係があるんだろう?68歯科衛生士 August 2021 vol.45歯科衛生士 August 2021 vol.45

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