歯科衛生士2021年8月号
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傷つけない! 保湿が続く! 近年、歯科衛生士は従来の診療室だけでなく、地域包括ケアシステムの推進を受けて病院や施設など歯科訪問診療における口腔健康管理など活動の幅が広がってきています。これにともない、従来の健常者の方だけでなく、若年障害者から有病者、要介護高齢者と患者層も多岐に渡るようになってきています。 そのなかでも、有病者、要介護高齢者の患者さんにおいて口腔乾燥のある方に遭遇することは多いと思います。乾燥した口腔粘膜は「唾液」というバリアを失うことで脆弱化1)し傷つきやすくなり、疼痛や出血を生じることもあります(右写真)。さらに、唾液の減少により自浄作用は低下し、痰や剥離上皮膜などの付着物が増え、口腔環境はさらに劣悪化してしまいます1)。それをふまえたうえで、口腔乾燥のある患者さんの口腔ケアはどのように行うべきなのか、本稿ではそのポイントをお伝えしていきます。唾バリア液を失った粘膜は、傷つきやすい! 藤原千尋Chihiro FUJIWARA国立病院機構福山医療センター[広島県]歯科衛生士・主任Illustration:碇 優子剥離上皮膜や出血の混ざった茶褐色の汚染物が付着している。特に乾燥しやすい舌背、口蓋に顕著に認められる。乾燥した状態で無理に剥離すると出血を生じる。口腔ケア編TOPICContentsP.76Part1 ケア前にチェック! 下準備&観察のしかた藤原千尋P.78Part2 ふつうのケアとどう違う?不快感軽減&保湿を持続させるための口腔ケア藤原千尋Part3 種類別 保湿剤の特徴と選択のヒント寺田 泉Part4 保湿剤の効果的な使いかた寺田 泉保湿剤編(次号掲載)お口が乾きがちな患者さんの口腔ケア保湿剤活用術&75歯科衛生士 August 2021 vol.45歯科衛生士 August 2021 vol.45

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