歯科衛生士 2021年11月号
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糖尿病型血糖値この患者さんは歯周病が進行しているなぁ。医療面接で確認したところ、喫煙習慣があるうえに、全身的既往歴として2型糖尿病があり、現在医科に通院中とのこと……。喫煙と同じく糖尿病も歯周病のリスクを上げると聞いたことがあるけど、具体的にどのような影響があるんだろう?68歯科衛生士 November 2021 vol.45 前回(2021年10月号)も述べたように、歯周病の直接的な原因は細菌性プラークですが、歯周病の発症と進行、そして治療に対する反応は歯周病のリスクファクターによって影響を受けます。 糖尿病は血糖値が慢性的に高くなる疾患で(表1)、血糖値を一定に保つホルモンであるインスリンが十分にはたらかなくなることが原因で発症します。インスリンを合成・分泌する膵β細胞の破壊によって発症する1型糖尿病と、インスリンの作用が不足した状態で、遺伝的要因に運動不足や食べすぎなどの生活習慣が加わって発症する2型糖尿病に大別さ 患者さんは60代男性です(図1)。喫煙習慣に加え、2型糖尿病を患っており、歯周病の高リスク患者と考えられます。 今回は、糖尿病が歯周病の発症や進行にどのように影響す成田大輔 Daisuke NARITAなりた歯科・矯正歯科[兵庫県]院長・歯科医師 日本歯周病学会歯周病専門医最終回Illustration:寺田久美2020年6月号では、DHが臨床上の疑問(クリニカルクエスチョン:CQ)の答えを自分で見つけるための基本的な文献検索スキルを特集で解説しました。本連載ではその実践編として、実際の症例を通してDHの臨床でよくみられるCQの文献検索に取り組みます。HbA1c≧6.5%連載内で紹介している文献を、web上で見ることのできるものはリンクつきでまとめました。CQ17https://www.quint-j.co.jp/web/shikaeiseishi/index.php空腹時≧126mg/dLブドウ糖負荷試験(oralglucose tolerance test:OGTT)2時間値≧200mg/dL随時≧200mg/dLCQ「糖尿病による歯周病への影響は?」表1 糖尿病の診断1)別の日に行った検査で糖尿病型が2回以上認められれば、糖尿病と診断する。2回のうち1回は必ず血糖値のいずれかで確認する。れます。網膜症、神経障害、腎症、動脈硬化など多くの合併症を引き起こしますが、歯周病の代表的なリスクファクターとしても知られています。るのか、また、糖尿病患者さんの歯周治療においてどのようなことに配慮する必要があるのかについて、文献検索を行って情報を得ていきましょう。ガイドライン&文献データベースでできる!歯周病のリスクって何があるの?(糖尿病編)DHが知っておきたい歯周病のリスクファクターに関するエビデンス[後]

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