●41歳●2006年日本ウェルネス歯科衛生専門学校卒業●臨床経験年数:15年目●勤務形態:常勤●日本臨床歯周病学会の所属支部:関東支部●勤務先:歯周病専門医院としてだけでなく、子どもから大人まで、口腔内全体、全身、ライフスタイルを含めた、長いお付き合いをさせていただけるホームドクターを目指す歯科医院Natsuko OTOMO荻窪わかまつ歯科[東京都]歯科衛生士日本臨床歯周病学会認定歯科衛生士78広汎型慢性歯周炎ステージⅣグレードB本欄は、(特非)日本臨床歯周病学会監修のもと、会員の歯科衛生士の方々にご登場いただき、日常臨床から学びが得られたケースを症例報告としてまとめていただきます。ご自身の臨床経験について、読者と共有し、学び合える場としていただけることを期待します。表1 患者さんの基本情報はじめに歯科恐怖症で30年ぶりの来院64歳(2014年8月初診時)、女性全身的既往歴皮膚のアレルギー診断名初診時の主訴、既往歴、全身状態などの情報を示す。[監修委員(50音順、敬称略)]雨宮 啓/吉田 茂/高井康博 (日本臨床歯周病学会)[キーワード] 最小限の介入、治療計画、歯科恐怖症年齢、性別主訴歯肉からの出血過去の受診時に歯をたくさん抜歯されて以来、歯科を受診することが怖くなった。今回、30年ぶりに来院。歯科的既往歴 歯科恐怖症患者は、恐怖心により歯科治療が困難となり、口腔内の健康の回復、維持が難しいうえ、不信感を抱きやすいため、術者との信頼関係の構築が困難となることが多いとされています。 本症例は、30年ぶりに歯科を受診した、歯科恐怖症の中等度歯周炎患者で、歯周治療の重要性を理解していただくとともに、継続した来院の協力を得る必要がありました。 歯周病専門医の医院での勤務1年目で勉強不足だった筆者が、この患者さんの真意をどう捉え、どのように恐怖心を緩和しながら歯周基本治療を行ったのかを報告し考察したいと思います。 患者さんは初診時64歳の女性で、歯肉からの出血が主訴でした(表1)。図1~3、次ページ図4に初診時の検査結果を示します。口腔衛生状況は不良で、全顎的に縁上から縁下にかけて厚みのあるプラークの付着、歯石の沈着を認めました(図1)。担当歯科医師により広汎型慢性歯周炎ステージⅣグレードBと診断されました。 日常のブラッシングは起床時のみとのことでした。大臼歯には欠損部位がありましたが、食事には困らなかったそうで、義歯使用歴はありませんでした。患者さんは自身の口腔内の状態が悪いのはだいぶ前から自覚していましたが、「最後に歯科を受診した30年前にたくさん歯を抜かれた」とのことで、歯科に対する恐怖心があったことと、羞恥心もあってなかなか受診できなかったとのことでした。Case 3歯科恐怖症患者に歯周治療を行った1症例Case Presenter大友奈津子Case Presentation最小限の介入を目指した治療計画で、痛みや恐怖を和らげるように配慮
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