歯科衛生士 2022年4月号
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マンガで学ぶMI(動機づけ面接法)はこれからの歯科衛生士の必須技術のひとつです! 世界的にも歯周治療で用いられているコミュニケーション技法、MIの基本を、マンガ事例を通して楽しくつかみましょう。[解説][マンガ] うさっぱ 漫画家・歯科医師[監修] 磯村 毅 Takeshi Isomura予防医療研究所代表・JaSMINe(日本動機づけ面接学会)代表理事・医師アンビバレンス。相反する感情や態度。例)痩せたいし、むし歯になりたくないけど、ケーキは食べたい。50*Lindhe's Clinical Periodontology and Implant Dentistry (Tord Berglundhほか編/Wiley-Blackwell/2021年)吉田直美Naomi YOSHIDA東京医科歯科大学大学院口腔健康教育学分野教授・歯科衛生士・公認心理師新田 浩Hiroshi NITTA東京医科歯科大学病院歯学系診療部門歯科総合診療科教授・歯科医師両価性モチベーションがラクになる技術「MI」を学ぼう 動機づけ面接法(MI:Motivational Interviewing)は、モチベーションが低い方を対象とした、科学的根拠に基づいたアプローチの方法です。対象者中心で目的志向的な面接スタイルによって、対象者がもつ両価性を探り、それを解消する方向へ行動の変化を促していく技術です。 1970年代に飲酒の問題へのアプローチとして研究が始まったMIですが、現在は、ダイエット、運動、禁煙支援などへのアプローチとして広がりをみせています。歯科衛生士に関係する分野では、歯周病治療やう蝕予防のためのアプローチとして研究報告がされるようになってきています。最新の世界的な歯周病学の教科書*にもMIについて掲載されており、欧米では歯科衛生士の教育カリキュラムの中に見られるようになってきています。このように、MIは歯科医師・歯科衛生士にとって重要なスキルです。 「一生自分の歯で噛みたい」「歯周病を治したい」という患者さんたちに寄り添いたい、何とかしてあげたいと思っている歯科衛生士は多いです。そのため、患者さんに歯周病の怖さや行動変容の大切さを伝え、その人に合う口腔衛生道具を勧め、歯ブラシの持ち方、当て方、動かし方を懸命に教えます。ところが、指導の時は磨けていたのに、次の来院でも、その次の来院でもプラークはついたままだし、歯肉もぷっくり腫れたまま……。「あんなに『はい、はい』って指導を聞いてくれていたのに、全然良くなってないじゃない」って思ったことはないですか? 病識のない患者さん、病識はあってもなかなか変わってくれない患者さんが自ら行動を変えようと思い行動を変化させるためのアプローチがMIです。この画期的な方法であるMIの精神や技術について、本連載のマンガで紹介する事例を通じて感じてみてください。

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