歯科衛生士 2022年4月号
5/9

歯歯69pHpHフッ化物食事内容摂食頻度細菌種唾液の構成成分細菌の蓄積(-)細菌の蓄積量(+)Fejerskovの輪再石灰化脱灰唾液の分泌速度唾液の緩衝能発酵性糖質のクリアランス糖質の種類時間 う蝕の病因論を示すモデルには、従来、個体要因(宿主と歯)、病原要因(微生物)および環境要因(生活習慣)が重なることによって発症する疾患であることを示すKeyesの3つの輪や、それに時間軸を加えたNewbrunの4つの輪が用いられてきました4,5)。しかし、Fejerskovの輪では、う蝕の発症には社会の仕組みや経済的背景、個人が置かれた教育環境や家庭生活環 1月号、2月号でも触れましたが、超高齢社会のわが国では8020運動をはじめとする口腔衛生活動の成果によって、高齢者の残存歯数は増加傾向にあり、それにと境などの「外部環境要因」も深く関与していることが示されています6)。さらに、ソーシャルキャピタル(社会関係資本:社会・地域における人々の信頼関係や結びつきを表す概念)の関与も指摘されています7)。このように、う蝕は「生活習慣」や「外部環境要因」も関与するNCDsであることが明確にされました。 なお、個人の努力では変えることのできないう蝕の「遺伝要因」については、また後日、第9回(10月号)で解説します。もない高齢者のう蝕、特に根面う蝕に罹患するリスクが増大しています。歯冠う蝕と同様、根面う蝕も多因子疾患ですが、その病因論には歯冠う蝕と異なる点が多いため、根面う蝕特有のリスク因子とその対処法を十分に理解することが重要です。(文献6より引用改変)April 2022 vol.46教育習慣社会階層態度収入知識う蝕の病因論を示すモデル(令和の常識)「Fejerskov(フェジェルスコフ)の輪」では、外側の円に記載される社会環境要因(社会階層、教育、収入)や保健行動要因(知識、態度、習慣)が、内側の円に記載されている歯・細菌・唾液・飲食物・フッ化物の相互作用の結果としてバランスが変化する脱灰・再石灰化のメカニズムに影響を与えていることが示されている。う蝕の発症にも外部環境要因がかかわる歯冠う蝕と根面う蝕では異なる点が多い歯冠う蝕 VS 根面う蝕

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る