●27歳●2016年専門学校穴吹福祉医療カレッジ歯科衛生士学科卒業●臨床経験年数:7年目●勤務形態:常勤●日本臨床歯周病学会の所属支部:関西支部●勤務先:大阪・淀川区で30年以上続く歯科医院で、歯周病・インプラント・予防歯科を中心に一口腔単位の治療を行っている歯科医院。45歳(2016年初診時)、女性歯科的既往歴1年前まで定期健診に通っていた全身的既往歴高血圧初診時の主訴、既往歴、全身状態などの情報を示す。[監修委員(50音順、敬称略)]雨宮 啓/吉田 茂/高井康博 (日本臨床歯周病学会)Maki Kawano医療法人おくだ歯科医院[大阪府]歯科衛生士日本臨床歯周病学会本欄は、(特非)日本臨床歯周病学会監修のもと、会員の歯科衛生士の方々にご登場いただき、日常臨床から学びが得られたケースを症例報告としてまとめていただきます。ご自身の臨床経験について、読者と共有し、学び合える場としていただけることを期待します。表1 患者さんの基本情報はじめに歯列不正によりセルフケアが困難[キーワード] 長期にわたる歯周治療、生活背景、歯周基本治療、歯周外科治療、口腔機能回復治療 さまざまな主訴や不安を抱えて来院される患者さんの中には、複雑な問題が多くみられ、根本的な解決のために治療が長期間に及ぶ場合があります。しかし、ご自身の口腔内の状態を把握できていない方も多いため、十分な説明を行う必要があります。現状を理解していただいたうえで、私たち歯科医療者と目指すゴールが共有できていなければ、長期にわたる治療を成功に導くことは難しくなるからです。歯周基本治療や、その後の動的治療や外科治療をどのタイミングで開始するか、また、現在だけではなく、将来を見据えた治療計画を歯科医師と話し合い、治療を円滑に進められるようにすることが、私たち歯科衛生士の重要な役割だと考えます。 今回は、長期にわたる治療を成功に導くために、患者さんの生活背景や環境の変化による優先順位を考慮し、寄り添いながら、歯科医師とともに取り組んだ症例を報告させていただきます。 患者さんは初診時45歳の女性で、「噛み合わせが歪んできている、両側の耳下が痛く頭痛もしてきた」という主訴で受診されました(表1)。口腔内所見(図1)より、55757は欠損し、7は対合歯の欠損により挺出していました。反対咬合の歯列不正による咬合不良や審美障害、歯頚ラインが不揃いなため、セルフケアが難しい状況であることがわかります。デンタルエックス線写真(図2)では、6は根尖部にまで及ぶ骨吸収を認め、歯根破折が疑われます。また、上顎臼歯部には垂直性骨欠損を認めました。歯周組織精密検査(図3)から、臼歯部に6mmの歯周ポケットを認めました。 担当歯科医師により、限局型慢性歯周78年齢、性別噛み合わせが歪んできている、両側の耳下が痛くて頭痛も気になる主訴Case Presenter河野真季歯周基本治療・歯周外科治療・口腔機能回復治療を実施した症例Case 4長期にわたる歯周治療を成功に導くために患者の生活背景を考慮Case Presentation
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