歯科衛生士 2022年8月号
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 30年ほど前に短大を卒業して間もなく一般歯科に勤務していた頃、「こんな状態になるまで、なぜ歯科を受診しなかったのか?」と思ってしまうようなう蝕だらけの患者さんにたびたび遭遇しました。患者さんは口々に「歯科治療は痛い・怖い」「放っておくと治ると思った」などと話さ 子どもの頃からかかわる意義として、まずは歯科医院の位置づけを確立したいと思っています。痛い・怖い場所ではなく、むしろ気持ちのいい場所であることを知ってもらうのはもちろん、生涯健康でいるために、メインテナンスで予防処置を受けられたり、その時の自分に合っれて、歯科に対するイメージが悪いまま、歯科について知らないまま大人になっている姿を目の当たりにしました。 それ以来、子どもの頃からの歯科医院でのかかわりが重要だと捉えるようになりました。これまでの経験をふまえた筆者の考えを以下に挙げます。た情報をもらえたりする場所であると認識してもらうことが重要です。メインテナンスの重要性を知ってもらえれば、大人になっても通い続け、親になってもわが子を連れて来てくださいます。この時期の体験が歯科医院に対するその後の印象にもつながるため、“歯科との最初の出会い”を大切にし、子どもたちの一生の歯科受診行動を育てていきたいと思っています。 また、全身の健康のために、状態が悪くなる前に口腔の正常な発育を見守りながらかかわっていきたいと思っています。13歳でう蝕有病率が90%を超え、55~64歳で歯周病の有病率が82.5%となる2など、歯科疾患の有病率は依然として高い割合を示している点からも、う蝕や歯周病は放っておいても治らないことや歯で噛めることの重要性を伝え、小児期からの口腔衛生習慣をしっかり定着させておくことが改善につながるのではないかと考えます。28う蝕予防に関する具体的なノウハウに入る前に、歯科医院における小児期からのかかわりが重要な理由や、今回対象とする3~6歳の幼児の特徴についてまとめます。写真に写っているお母さんも、かつて子どもの頃に患者さんとして通われていました。筆者が勤務している医院では、親子2代で通っている方もたくさんいらっしゃいます。歯科医院で子どもとかかわるということはメインテナンスや口腔衛生を一生の習慣に歯科医院でかかわる子どもたちを知ろう

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