歯科衛生士 2022年8月号
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●35歳●2008年関西女子短期大学歯科衛生学科卒業 ●臨床経験年数:15年目●勤務形態:非常勤●日本臨床歯周病学会の所属支部:関西支部●その他所属学会、スタディグループ:KSGDH会●勤務先:大阪府門真市に位置し、「全ての患者さまのために」を合言葉に、たくさんの歯科医院がある中で患者さまにとって生涯の歯科医院になれるよう医院全体で取り組んでいる。Mieko Yamamoto須沢歯科・矯正歯科 [大阪府]歯科衛生士日本臨床歯周病学会認定歯科衛生士 かかりつけ歯科医院として、長期にわたって患者さんの口腔内の健康を守るためには、つねに患者さんの口腔内および環境などの変化を見極め、把握することが必要です。特に、女性の場合は、女性ホルモンなどの影響で、思春期、妊娠・出産期、更年期や更年期以降の各ライフステージで歯周組織に変化が生じることもあるうえ、結婚や育児、家族の病気や介護と、ライフイベントも多いため、それぞれの時期に合わせた歯周病予防や治療について説明・指導が肝要です。 本稿では、長期にわたる歯周治療を成功に導くために、患者さんのライフステージやライフイベントに配慮しながら、歯科医師とともに取り組んだ一症例を提示します。 患者さんは、初診時58歳の女性(表1)。全身状態は良好で非喫煙者でした。右上臼歯部の動揺と違和感を主訴として来院されました。 口腔内所見(図1)に関しては、下顎前歯部に歯肉縁上歯石の付着、臼歯部の歯頚部に楔状欠損を多数観察し、ブラキシズムが疑われました。パノラマエックス線写真(図2)では、臼歯部に歯肉縁下歯石の沈着、766776に歯槽骨の吸収を認めました。歯周組織検査(図3)では、7に最大12mmの歯周ポケットを認め、76連結の動揺度は2度でした。また、前歯部のアンテリアガイダンスが欠如しており、側方運動時の干渉を臼歯部に確認しました。 担当歯科医師により、広汎型慢性歯周炎ステージⅣグレードCと診断されました。74年齢、性別主訴右上奥歯の揺れと違和感がある、歯科検診希望歯科的既往歴前医には歯石除去のため定期的に通っていた本欄は、(特非)日本臨床歯周病学会監修のもと、会員の歯科衛生士の方々にご登場いただき、日常臨床から学びが得られたケースを症例報告としてまとめていただきます。ご自身の臨床経験について、読者と共有し、学び合える場としていただけることを期待します。表1 患者の基本情報はじめにブラキシズムも疑われた歯周病患者58歳(2015年初診時)、女性全身的既往歴特記事項なし喫煙歴初診時の主訴、既往歴、全身状態などの情報を示す。[監修委員(50音順、敬称略)]雨宮 啓/吉田 茂/高井康博 (日本臨床歯周病学会)なしCase 8 (最終回)Case Presenter山本実枝子歯周基本治療・歯周外科治療・口腔機能回復治療を行った症例[キーワード] ライフステージ、ライフイベント、口腔衛生指導(OHI)、歯周基本治療、歯周外科治療、口腔機能回復治療Case Presentationライフステージ・ライフイベントに配慮してOHIを継続

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