歯科衛生士 2022年9月号
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●41歳●2007年大阪府歯科医師会附属歯科衛生士専門学校卒業●臨床経験年数:16年目●勤務形態:非常勤●所属学会・スタディグループ:日本歯周病学会、日本臨床歯周病学会、赤ちゃん歯科ネットワーク、スカンジナビアンデンティストリー●勤務先:OHI-Sや唾液検査などメディカルトリートメントモデルを用いた予防歯科を実施。スタッフの8割が子育て中で、勤続年数の長い人が多い。症例をシェアして、ステップアップ!はじめに―重度歯周炎に歯科衛生士47歳(2014年初診時)、女性10日前に脱離して噛めない、食べられない27年以上(1日20本)年齢、性別左上の被せ物が取れた。左上の前歯がグラグラして痛い。歯並びが悪く、しみるところがある主訴現病歴今回被せ物が取れた56の治療を2年前に他院で受けていた。治療は完了したが、今まで歯周治療を受けたことがない。定期検診の案内を受けたこともない歯科的既往歴全身的既往歴特記事項なし喫煙歴75September 2022 vol.46 重度歯周炎に罹患している患者さんの場合、歯周治療が奏功せず、長期にわたりSPTを行っていても徐々に歯を喪失していくこともあります。手の施しようがなく、歯科医師から抜歯を勧められる場合もあるでしょう。このようなケースにおいて、歯科衛生士として歯科医師と治療計画を考え、患者さんに自分の口腔内の状態を理解し、納得したうえで治療を受けていただくことが重要だと考えています。また、歯周炎が進行している歯を近い将来失うことも予測し、患者さんとともに歯を喪失した時の心づもりをしておくことも大切です。 今回は、重度歯周炎ではあるものの、「できるだけ歯を残したい」「食べられるようにしてほしい」という患者さんの希望に寄り添い歩んできた8年の経過を示します。保存が難しい歯もあるなかで、歯科医師とも相談のうえ、すぐに抜歯を選択せず、患者さんと共に歯を残そうと試み、生体の反応や経過を観察し続けました。この症例報告が読者の皆様の一助になれば幸いです。 患者さんは初診時47歳の女性で、主訴は左上の被せ物が10日前に取れたとのこと(表1)。また、左上の前歯は6ヵ[キーワード] 重度歯周炎、8年経過今回症例を紹介してくれるのは……としてどのように向き合うか―Ayano Maeikeとしな歯科医院[大阪府]歯科衛生士日本歯周病学会認定歯科衛生士Case45前池綾乃さん表1 初診時の患者の基本情報ヘビースモーカーの患者さん重度歯周炎で重度歯周炎に諦めずにかかわり続けている8年経過症例

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