歯科衛生士 2022年10月号
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49 成熟プラークから励起される赤色蛍光を可視化するQLFTMデジタルカメラシステム(QLF-D BiluminatorTM、Inspektor Research Systems)を用いて観察すると、赤色蛍光領域の三原色成分RGBのR/G比と、採取したプラーク中の耐酸性菌数、プラークを培養した上清のpH、プラークが付着していた歯質の表面硬度変化率との間に強い相関関係が確認されたことから2、QLFで観察される赤色蛍光はバイオフィルムのう蝕原性と相関しており、口腔バイオフィルムのう蝕原性のレベルを検出するために使用できることが示されています。 成熟プラーク中で増加するカンジダ菌は、重症小児う蝕患者の口腔内で頻繁に検出される日和見真菌です。こ この場合、赤色蛍光プラークが有する高いう蝕原性は、ミュータンス菌などのう蝕原性レンサ球菌の存在を反映しているのではなく、プラークの成熟度を反映していると考えられます2。れまでの研究で、カンジダ菌はう蝕誘発能を有することが示唆され、さらにミュータンス菌との相乗的な相互作用によるう蝕誘発能の増強が示されています3。また、この2つの菌の組み合わせは、齧歯類モデルにおいてより高いう蝕重症度と関連することが示されています4。(文献3より転載)October 2022 vol.46C. albicansとS. mutansの混合バイオフィルム像①A:100倍拡大写真、B:1,500倍拡大写真、C:5,000倍拡大写真。白色矢印:バイオフイルム中に形成される液体の通路(チャネル)。赤色矢印:C. albicansの菌糸、青色矢印:S. mutans菌体。微生物の菌体(カンジダ菌およびミュータンス菌の菌体)が菌体外マトリックスに埋もれているようすを示している。このマトリックスには水チャネル(白い矢印)があり、そこを液体が流れ、栄養分や菌と菌との間のコミュニケーションを促進するシグナル分子を供給している。図Cの右下白色スケールは10 µm。赤色に蛍光するプラークはう蝕原性を有し、成熟度が高いミュータンス菌と組み合わさるとう蝕誘発能が増強されるカンジダ菌が多いプラークプラークは黄色を呈し、成熟度が高い。う蝕多発者によくみられる。カンジダ菌は悪玉ミュータンス菌の名サポーター

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