●28歳●2016年神戸常盤大学短期大学部口腔保健学科卒業●臨床経験年数:7年目●勤務形態:常勤●勤務先:淡路島で開院して100年。地域に根差した診療をしている。日本歯周病学会認定歯科衛生士が7名在職し、特に歯周治療に力を入れている。77 「歯科医院に行きたくない」という思いを抱え、痛みや違和感があっても歯科医院に行くことができずにいる人は多いのではないでしょうか? 治療の痛みに対する恐怖心だけでなく、「口腔内を見られたくない」「怒られるかもしれない」「恥ずかしい」という思いもあると思います。 本稿では、口腔内の悩みを抱えながら、長年歯科を受診できなかった20代の男性が口腔内の改善によって自信と笑顔を取り戻し、「人生が変わった」とおっしゃっていただけた症例の経過を報告いたします。 本症例の患者さんは初診時27歳の男性で、前歯のう蝕を主訴に20年ぶりに来院されました(表1)。小学校低学年の頃に受診した歯科で痛い思いをして以来、恐怖心で長らく受診できなかったとのことでした。コロナ禍になる前にもかかわらず、[キーワード] 歯科コンプレックス、重度う蝕、酸蝕症、医療面接、モチベーション今回症例を紹介してくれるのは……年齢、性別主訴前歯がいちばん気になるが、全体的にむし歯になっている現病歴痛みがあっても放置していた歯科的既往歴歯科治療に対する恐怖心が強く、20年以上受診していない全身的既往歴特記事項なし喫煙歴症例をシェアして、ステップアップ!はじめに―恥ずかしさで来院から足が遠のく方もいる―Chizuru Oda楠歯科医院[兵庫県]ADF(淡路デンタルフォーラム)October 2022 vol.4627歳(2019年初診時)、男性15歳から1日10本表1 初診時の患者の基本情報コンプレックスを抱えて勇気の来院織田千鶴さんCase46原因の突き止めに苦労した重度う蝕症例 ~人生を変えた歯科治療~
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