歯科衛生士 2022年11月号
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November 2022 vol.4647持続する炎症性サイトカイン刺激造血幹細胞互いに影響し合う血流に乗って全身のさまざまな組織へと分布瞬間湯沸かし器のような免疫細胞がつくられる歯周組織の炎症性物質(サイトカインなど)が血流に乗って全身に運ばれ、全身の慢性炎症に影響を与える。歯周病菌やその代謝物などが血流に乗って全身に運ばれ、全身の慢性炎症に影響を与える。自然免疫担当細胞単球顆粒球口腔細菌が飲み込まれて大腸に送られる。口腔細菌が腸の細菌叢にディスバイオーシスを起こし、全身の慢性炎症に影響を与える。(文献2より引用改変)はっきりとはしていません。進行した歯周病が全身疾患に影響を与えるケース、全身疾患が進行して歯周病に影響するケース、あるいは歯周病と全身疾患がほぼ同時に発症しお互いに影響を及ぼし合うことも考えられます。 免疫球(免疫細胞)は、過去の感染を覚えており(免疫記憶)、同じ病原体に再感染した場合には、より速く、より強い免疫反応を引き起こします。この重要な免疫記憶は、これまで、抗体による獲得免疫だけの機能であると考えられてきました。 しかし、最近の研究により、慢性炎症が体内のどこかに存在する場合、マクロファージや好中球など、もともと体に備わっている常設パトロール隊のような免疫細胞にも感染の記憶が刻まれ、次に起こる感染に対してより強力に反応するようになることが明らかとなっています2。 このように、即座に過剰に反応する“瞬間湯沸かし器のような免疫細胞”は全身のすべての慢性炎症を悪化させます。これが歯周病と全身疾患をつなぐ重要なはたらきを担っているのです2,3。②菌血症“瞬間湯沸かし器のような免疫細胞”が引き起こす炎症増悪スパイラル口腔バイオフィルムと全身疾患をつなげる3つの経路4①慢性炎症“瞬間湯沸かし器のような免疫細胞”による炎症増悪スパイラル慢性炎症によって“瞬間湯沸かし器”のように怒りっぽくなった自然免疫担当細胞が全身を駆けめぐり、慢性炎症をともなう疾患をさらに悪化させる。炎症の増強骨髄③口腔細菌の嚥下全身の慢性疾患歯周病血流

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