歯科衛生士 2022年12月号
4/9

× ここはこう磨くのよ、ここはこう× 手取り足取り1話し合い2耳を傾け3承認し4任せてやって5人を育てる2アドバイスは少なく(笑顔はたっぷり)1過保護な指導厳禁 昭和のTBIはティーチング(teaching)でした。模型を使ってブラッシングをやって見せ、説明。プラーク染色し実際にさせてみる。うまく磨けないところは術者磨きで指導。命令どおりの技術指導なので、患者さんが考える作業はありません。「磨いているのと、磨けているのは違います!」という“上から目線”の指導もあたりまえでした。 令和のOHIはコーチング(coaching、スポーツのコーチと一緒)です。患者さんも主治医になってもらうために、口腔内の現状を自分事にしてもらうことから始めます。まず、患者さんの口腔内の状況を説明し、自分の現状をどう思うか、患者さんと意見交換をしましょう。患者さんが問題点を認識したら、解決策を問いかけます。答えは患者さんに出してもらうのです。初回のブラッシング指導は模型を使って30秒だけ。「次回は○○さんの最高の歯磨きを見せてくださいね」で終わり。口の中全体が真っ赤に染まり、患者さんはきっと恥ずかしい思いをしたはずです。その名誉挽回の時が次回来院時です。それまでに工夫するのは患者さんです。 令和の学習塾は、講師の講義は短め。生徒はたっぷり自習時間をもらい、講師は質問されて指導するスタイルです。OHIも同じです。けっして一方的に喋らないでください。一度にたくさんの情報を詰め込む熱血指導は逆効果です。「ああ~、めんどくさい」と思われてしまいます。人は面倒なことは後回しにします(家電の説明書をていねいに読みますか?)。 OHIはプラークとの戦いではありません。患者さんとの語らいの時です。患者さんが語りながら自ら気づいていくのです。歯科衛生士は患者さんの語りをうまく誘導するだけです(患者指導の詳細は、拙著『歯科衛生士のためのペリオドントロジーダイジェスト』の第4章をご覧ください)。令和のOHIは時間はかかりますが、患者さんは目覚めます。その時までのプラークコントロールはプロフェッショナルケアで補ってください。問題点の具体的な抽出方法は連載第8回(本誌9月号P.47)を参照。57December 2022 vol.46口の現状をどう思うかよく聞き、対応策を問いかける患者が考えた方策を肯定・尊重工夫して行うのは患者患者を主治医にするOHIはティーチングからコーチングへ患者に考えさせ、患者に質問させる患者さんを伸ばすOHI令和のOHIはコーチング(支持・支援)患者を伸ばすOHI:けっして一方的に喋らない

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る