歯科衛生士 2023年1月号
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7に修復治療が施されて約5年前に他院にて7いる。その後、同院にて1、2回定期健診を受けて以降、歯科医院への通院は途絶えていた●28歳●2016年大阪歯科大学歯科衛生士専門学校卒業●臨床経験年数:7年目●勤務形態:常勤●所属学会・スタディグループ:日本歯周病学会、ブレイクスルー大阪●医院紹介:日本歯周病学会歯周病専門医・認定歯科衛生士が在籍し、歯周治療をはじめとした幅広い診療を行っている。患者にリラックスして受診してもらえるよう個室の診療室・カウンセリングルームを完備。症例をシェアして、ステップアップ![キーワード] OHI、行動変容、モチベーション維持、SRP年齢、性別主訴ブラッシング時の出血が気になる歯科的既往歴家族歴両親ともに義歯の使用等はなく、残存歯は多い今回症例を紹介してくれるのは……初診時の患者の基本情報全身的既往歴現病歴喫煙歴来院できなかった患者さん─January 2023 vol.4742歳(2018年初診時)、女性特記事項なし3年半前に妊娠をしてからブラッシング時に歯肉からの出血を自覚するようになったが、現在に至るまで症状は改善していないなし 本症例の患者さんは、ブラッシング時に歯肉出血を自覚するものの、出産や子育てで忙しく歯科を受診できず、初診時より約5年前の他院での定期検診を最後に、歯科への通院が途絶えていました。 そのような患者さんに対し、患者教育、ブラッシング指導、スケーリング・ルートプレーニング(以下、SRP)を含む歯周基本治療を行った結果、歯周組織が顕著に改善し、さらに局所的な歯周外科治療後、継続的なSPTへと移行しました。現在でも高いモチベーションのもと安定した歯周組織の状態を保てているため、報告いたします。 はじめに、患者さんのキャラクターや口腔内の状況、セルフケアの状態を把握するため、医療面接の時間をしっかり取り、情報収集を行いました。 患者さんのキャラクターとしては大人しめのタイプで、あまり自分から話す方ではありませんでしたが、こちらの話を「うんうん」と頷いて聞いてくれ、笑顔が素敵な印象でした。患者さんは、これまで治療歴が少なく、歯科医院で詳しい説明なども受けたことがなかったようで、自分が歯周病だということを認識しておらず、自身の口腔内の状況を把握できていませんでした。そのため、まずは、採得資料の結果をひとつずつ一緒に確認しながら説明を行いました(次ページ図1~3)。口腔内写真で歯肉の発赤・腫脹の部位について、健康な歯肉と比較しながら普段あまり見ることのない臼歯部や口蓋側、舌側などを中心に見せ、エックス線写真では、歯石の沈着部位や骨吸収の状態を説明しました。そして、歯周組織検査結果を見せ、歯周ポケットの数値、BOPの部位などを健康な歯周組織の数値と比較しShiori Yamamotoなりた歯科・矯正歯科[兵庫県]歯科衛生士日本歯周病学会認定歯科衛生士85はじめに ─出産・育児でなかなかまずは資料をもとに現状を理解してもらうことからCase49山本志織さん歯周基本治療および局所的な歯周外科治療を行い、SPTにて症状安定を維持している症例

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