文 3演者論202第1回 “歯肉縁下が見える”って、こういう状態第2回 歯肉縁下が“もっと見える”ための工夫①第3回 歯肉縁下が“もっと見える”ための工夫②第4回 歯肉縁下が見えると、 歯周基本治療の限界も見極められる 「盲目下」という言葉で表現されるとおり、歯肉縁下はこれまで「目に見えない部位」として捉えられ、その前提で探知やインスツルメンテーションが行われてきました。筆者も歯科衛生士になりたての頃、手指の感覚で歯石や根面の形態を探知する練習を重ねていましたが、なかなか感覚をつかむことができずに苦慮していました。そんな時、マイクロスコープを使う先輩歯科衛生士と出会い、その臨床を見学する機会がありました。明るく拡大した視野で、歯周ポケットの中を直接見ながら歯肉縁下歯石にスケーラーを当てて除去していく様子に衝撃を受け、画期的だと感じました。それ以来、臨床で毎日マイクロスコープを使うようになりました。 マイクロスコープを使用すると、口腔内を明るく拡大して見ることができ、術者の見ている視野をそのまま撮影・記録することが可能です。さらに、本連載で解説するポイントを押さえたうえでマイクロスコープを適切に使用すると、光の届く範囲で、歯肉縁下の状態も見ることができます。これまで「見えない」とされてきた歯肉縁下歯石が見えること、除去できたかどうかを目で見て確認できることは、精密で確実な処置を行うために役立つうえ、純粋にとてもおもしろく、歯科衛生士としての仕事のやりがいや自信にもつながりました。 また、拡大視野で歯肉縁下歯石や根面の性状を視覚的に確認しながら、プローブや探針で探知することで、手指の感覚を養うこともできると実感しています。根分岐部のアンダーカット部分や、狭くて深い歯周ポケットのポケット底付近など、光が届かずマイクロスコープで拡大しても見ることのできない部位においても、視覚、手指感覚を併用することで、得られる情報量は格段に多くなります。このように、探知やインスツルメンテーションの確実性を高めるツールがマイクロスコープなのです。 そこで本連載では、マイクロスコープで見える世界を紹介し、より確実な歯周治療につなげるための、マイクロスコープ下でのデブライドメントのコツについて、臨床動画を用いて解説したいと思います。杉山幸菜Yukina SUGIYAMA新百合ヶ丘南歯科[神奈川県]歯科衛生士日本顕微鏡歯科学会認定歯科衛生士[監修]髙山祐輔Yusuke TAKAYAMA新百合ヶ丘南歯科[神奈川県]院長・歯科医師 まずは、マイクロスコープで観察した歯や歯周組織、デブライドメントの様子はどのように見えるのか、症例を見てみましょう。上顎前歯部唇側。上顎前歯部口蓋側。※使用しているマイクロスコープの機種:OPMI pico MORA(カールツァイス)、エルタニス(三鷹光器)第1回“歯肉縁下が見える”って、こういう状態拡大視野によって、歯周治療の成果を確認できる強力なツールであるマイクロスコープ。DHとして最大限活用するためのポイントをご紹介します。76歯周治療の確実性を高める!もっと見えるマイクロスコープは歯周治療の確実性を高めるツール健全な歯肉炎症のある歯肉マイクロスコープで歯肉
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