歯科衛生士 2023年6月号
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3演者論202文53June 2023 vol.47*ただし、本特集では便宜的に「口腔保湿剤」と表現しています。Illustration:もり谷ゆみ 口腔保湿剤は、多くの歯科衛生士さんから、「自院で使っているものしか知らない」「あまり使い方や使い分けを考えていない」などといったお話を聞くことが多く、知識がアップデートされにくいものの1つのようです。 しかし、口腔保湿剤は、「とりあえず塗っておく」ものではなく、口腔乾燥を改善するために効果的に選んで使用するものです。 そこで本特集では、数ある口腔保湿剤について、“成分と剤形を意識しながら患者さんにあわせた使い分け”ができるように、口腔保湿剤の配合成分、剤形、刺激の有無などについて解説します。米永一理Kazumichi YONENAGA東京大学大学院医学系研究科イートロス医学講座 特任准教授日本大学歯学部臨床教授医師・歯科医師板井俊介Shunsuke ITAI東京大学大学院医学系研究科イートロス医学講座 特任助教歯科医師「口腔保湿剤」は正式名称ではない!? 口腔保湿剤とは、口の中の水分量を保ち、口腔乾燥症の症状を和らげるための製品です。皆さんも臨床の現場で、『お口の保湿剤を使いましょう』と患者さんに声かけをすることがあると思います。 しかし、皆さんが実際に使っている口腔保湿剤の製品名を見てみてください。「お口が潤う」とか「お口がしっとりする」などの文言はあるものの、「口腔保湿剤」とは書かれていないのではないでしょうか。なぜなら、「剤」には「調合する」という意味があり、一般的には調合したお薬を指します。お薬以外では、たとえば歯磨き剤や清涼剤など、薬事分類があるものにのみ使用されています。 つまり、市販されている口腔保湿剤は、薬事分類になく、またお薬ではないため、「口腔保湿剤」とは名乗れないようです。特集2はじめに 脱! 「とりあえず塗っとこう」成分や剤形を意識してみようここまで選べる!口腔保湿剤

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