歯科衛生士 2023年7月号
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3演者論202文49セメント質を徹底的に除去するインスツルメンテーションは、もはや過去の話です。まずは、インスツルメンテーションについて現在どのように考えられているのかみていきましょう。かしながら、1980年代に入ると、そのSRPの概念を疑問視する研究が報告され、歯肉縁下の細菌性プラークは歯根の表面部に位置していることがさまざまな研究から明らかとなったのです2。さらに、感染した歯根表面部のみをインスツルメンテーションすることにより、その破壊と除去が比較的簡単に達成できることが示されました3。 現在では、その目的を「生物学的に健康な付着が可能な歯根面を作ること」とし、セメント質の保存に重点をおいた、より侵襲性の少ないインスツルメンテーションの提供が必要であるとされています。より侵襲が少ない非外科的歯周治療、つまりペリオドンタルディブライドメントとは、セメント質を過剰に除去することなく徹底して歯面および歯根面から有害物質を除去するインスツルメンテーション薄井由枝Yoshie USUI九州看護福祉大学看護福祉学部口腔保健学科非常勤講師・歯科衛生士淀川尚子Takako YODOGAWA九州看護福祉大学看護福祉学部口腔保健学科教授・歯科衛生士中村昌代Masayo NAKAMURA九州看護福祉大学看護福祉学部口腔保健学科助教・歯科衛生士浪花真子Mako NANIWA九州看護福祉大学看護福祉学部口腔保健学科助教・歯科衛生士臨床でよく見る“やってはいけない”症例“ガリガリストローク”によるSRPを長年繰り返した結果、くびれたように変形してしまった歯頚部。患者自身は非常に熱心に歯科医院へ通院していたにもかかわらず、不適切なSRPによってこのような状態になってしまった。であり、メインテナンスやSPTの目標である長期的な歯周組織の炎症のコントロールに対し、最小の侵襲で最大の効果が得られるとされています4。 歯周病の治療や処置に関するエビデンスは年々蓄積され、新しい技術や薬剤が開発されていますが、そのようななかでも、ペリオドンタルディブライドメントは依然として歯周炎を治療、および管理するためのゴールドスタンダードとされています。July 2023 vol.47こんなお悩み、ありませんか……? ライドメントケアプロセス歯周病管理歯周病管理

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