歯科衛生士 2023年7月号
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文13演者論202642023年、待ち望んだ 数年前、社会奉仕連合団体である国際ロータリークラブの「つくばロータリークラブRID202」が、フィリピンの歯科治療が届かない地区で市民の方へスケーリングや抜歯、口腔ケアなどのボランティア活動を行っていることを知りました。私もそのプロジェクトに参加したいと考えてオファーをしていましたが、コロナ禍に入り、活動ができなくなってしまったことを聞き、残念に思っていました。その後、少しずつ海外に行ける社会情勢になり、2023年は活動が再開できるとのことで、今回お声をかけていただきました。 今回の活動は、フィリピンの歯科衛生士の能力向上・医療システム強化を目的に、日本の歯科衛生士の技術や知識をフィリピンの歯科衛生士に向けて講演するという内容のボランティア(DENTAL HYGIENIST- TRAINING IN PREVENTING AND TREATING ORAL DISEASES in the Philippines)で、初めての試みでした。2月5日(日)から11日(土)までの7日間、フィリピンにある「ロータリークラブRID3810」主催、「つくばロータリークラブRID 202(宮田夏絵地区会長)」サポートのもと、招待講演という形でフィリピンのUnciano College Manilaで、講演と実技実習をしてきました。 今回は地区会長の宮田夏絵さん(宮田歯科クリニック副院長、歯科衛生士)のお声がけで、フィリピンの歯科事情に合った学びを共有できる講師が抜擢され、日本人歯科医師(5名)と歯科衛生士(7名)によるチームが発足し、フィリピンの歯科衛生士に役立つように、それぞれの得意分野をふまえた教育プログラムが組み立てられました。 フィリピンの歯科衛生士教育ミッションが決定してから約4ヵ月間、たくさんの準備を行いました。そのなかで何度も会議があり、研修内容が絞られ、準備に追われてきました。COVID-19の影響を受け、直前まで渡航できるかわからない状況が続きましたが、会議をしていくなかで、フィリピン側から「これも知りたい」「あれも知りたい」という意欲ある希望を受けたこともあって、少しでも日本の歯科衛生士の技術や知識を伝えられたらと思い、全員で講義内容を練っていきました。植村美穂Miho UEMURAアキモトプライベートデンタルオフィス[神奈川県]歯科衛生士フィリピンでは、2007年に歯科衛生士法が定められ、その後歯科衛生士会も発足しました。それまで、クリニックにはデンタルナース(アシスタント)しか存在しておらず、国としても歯科衛生士教育はこれから本格的に進められようとしています。今回は、こうした状況にあるフィリピンでの歯科衛生士教育に貢献するために行われたボランティア活動についてレポートしていただきます。(編集部)日本の歯科衛生士の技術や知識を伝えたいフィリピンボランティアへ!フィリピンでの歯科衛生士教育プロジェクトTOPICDHが制度化して間もない国でのボランティア活動フィリピンに出発するまでフィリピンで歯科

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