歯科衛生士 2023年7月号
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●臨床経験年数:31年目●1993年太成学院大学歯科衛生士専門学校卒業●50歳●勤務形態:常勤●所属学会・スタディグループ:日本歯周病学会、日本臨床歯周病学会、日本歯科衛生士会、日本医療機器学会、NPO法人日本・アジア口腔保健支援機構●医院紹介:歯周病治療を中心に小児・補綴・インプラント・審美など多岐にわたる診療を行っている。Special長期症例83初診時の患者の基本情報全身的既往歴喫煙歴特記事項長期間サポートし続ける─Megumi Noda一般財団法人サンスター財団附属千里歯科診療所[大阪府]歯科衛生士43歳(1997年初診時)、女性なしなし育児など忙しく歯科受診する暇がなかったJuly 2023 vol.47[キーワード] SPT、コミュニケーション、カウンセリングスキル年齢、性別主訴1週間前から右下奥歯を噛んだときに痛む。全体的に歯ぐきの腫れが気になる。歯科的既往最後の歯科受診がいつだったか覚えていない今回症例を紹介してくれるのは…… 歯科医療では、予防・治療・アフターフォローを含めると、非常に長い期間患者さんとお付き合いすることになります。長く継続して通院していただくには、患者さんの要望と生活背景の変化に応え、「この人に任せていれば大丈夫」と信頼される歯科衛生士でいなければなりません。また、長期間の通院中には、患者さんのライフステージにおけるさまざまなイベントがあるため、そのステージに応じたサポートが必要です。 本症例の患者さんは、さまざまな理由から歯周病の状態が悪化してしまってから来院されました。コミュニケーションやカウンセリングスキルを駆使し、また数々のライフイベントのサポートを行い、患者さんの信頼を得ることで長期間のSPT継続につなげることができましたので、ご報告いたします。 患者さんは初診時43歳女性で、1997年に「1週間前から続く右下奥歯の噛んだ時の痛みと歯ぐきの腫れが気になる」とのことで来院されました。「歯科受診は結婚前の会社勤めをしていた時だったと思うが、いつ頃だったか、どこを治療したか正確には覚えていない」とのことでした。7の歯周病急性発作が認められたため、痛みの原因とその治療について説明し、治療の同意を得ました。当日は主訴である7の症状改善のため、ポケット内洗浄とペリオクリンⓇ歯科用軟膏(サンスター)を投与し、後日あらためて歯科衛生士による医療面接、資料採得を行いました。 歯周基本治療開始前の検査結果を次ページ図1~3に示します。全顎的に発赤と浮腫性の腫脹が顕著で、プラークコントロール不良と歯肉縁下歯石の付着が認められます。上顎前歯はフレアーアウ定期的な歯科受診がなく、歯周病が進行した患者さんはじめに─ライフステージに配慮し、 Case55野田めぐみさんコミュニケーションやカウンセリングスキルを駆使してSPTにつながった25年経過症例

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