歯科衛生士 2023年8月号
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87August 2023 vol.47[キーワード] 歯ブラシ、歯間ブラシ、歯周病年齢、性別主訴歯肉の腫れと痛み歯科的既往歴今回症例を紹介してくれるのは……●臨床経験年数:31年目●1989年アポロ歯科衛生士専門学校卒業●56歳●勤務形態:非常勤(フリーランス)●所属学会:日本臨床歯周病学会、日本顎咬合学会●医院紹介:①歯周病の治療・管理、②永続性のある上質な医療の提供、③関わりある人の幸福の追求の3つの柱を理念に掲げ、日々研鑽に努めている。47歳(2021年再初診時)、女性2004年に初診で来院したが、2回目の来院を無断キャンセル。その後も2006年、2011年と7の脱離で来院するも治療にはつながっていない10年以上前から1日10本全顎的な歯間部の腫脹、歯肉縁上歯石、タバコのヤニ付着歯石の付着、垂直性骨吸収、歯肉腫脹喘息で入院歴あり、服薬なし症例をシェアして、ステップアップ!Kazumi Naitoうめむら歯科医院[東京都]歯科衛生士初診時の患者の基本情報口腔内所見デンタルエックス線写真所見プロービング値全顎的に4~9mm、BOP(+)、PCR90%以上 全身的既往歴喫煙歴重要性を理解する─ 歯科衛生士にとって、口腔衛生指導(OHI)は重要な業務の1つであり、患者さんの口腔内の健康を維持するために必要不可欠な役割を担っています。歯科衛生士学校でも、最初に各種のブラッシング法や歯ブラシの形状、硬さ、動かし方など、多岐にわたって学ぶことと思いますが、歯間ブラシについてはどうでしょうか。歯間ブラシは歯間部の清掃道具の1つで、サイズ選択が重要なポイントになります。しかし、歯科衛生士の私たちでさえ、サイズ選択を的確に行うことの重要性について理解していないことがあります。サイズ選択が適切であれば、患者さんのストレスを軽減することができ、指導者も自信をもって指導することができます。 そこで今回は、歯ブラシ・歯間ブラシを処方する重要性について、症例を通して報告します。 患者さんは17年前に5の脱離で初めて当院に来院し、補綴治療を受けましたが、来院が途絶えてしまいました。その後も7の脱離で何度か来院しましたが、途中で体調不良などを理由に未来院となり治療が進まない状況が続きました。今回は疼痛と歯肉からの出血がみられ、患者さん自身も歯周病の自覚があり、痛みをとってほしいとのことで10年ぶりに来院されました。 再初診時の検査結果は次ページ図1~3に示すとおりです。デンタルエックス線写真10枚法からも歯石の沈着、垂直性骨吸収が確認できました(次ページ図2)。臼歯部のプロービング値は、ほぼ5mm以上あり、全顎的に出血がある状態でした(P.89図3)。PCRは90%以上で、歯ブラシの使用は1日2回、歯間ブラシはたまに使用する程度でした。これらの検査結果から、担当歯科医師によCase56内藤和美さんはじめに─歯ブラシ・歯間ブラシの たびたび通院が途絶え、治療が進まなかった患者さん歯ブラシ・歯間ブラシの適切な処方により炎症が改善した歯周病症例

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