ホワイトニングには、歯を白くするだけではない効果も認められています。 過酸化物を使用するホワイトニングは歯を白くするだけでなく、う蝕予防や歯周病予防の効果も認められています1。これらの効果はホワイトニングプリベンション1,2と呼ばれています。 まずは、う蝕予防の機序についてご説明します。う蝕の病因論として生態学的プラーク説が注目されています。生態学的プラーク説とは、通常はバイオフィルム中の細菌が糖を代謝して産生する酸と、唾液の緩衝能や細菌の産生するアルカリにより脱灰と再石灰化のバランスが保たれている動的に安定した状態を維持していますが、このバランスが崩れて酸性環境が続くと耐酸性能のある細菌(S.mutans担当歯科医師須崎 明のコメント ホワイトニングがきっかけとなって高まった口腔内に対する患者さんの高い関心度は、4年経過後も継続していました。患者さんの転居にともない、当院でのメインテナンスは最後となりましたが、4年間の経過観察で初期う蝕病変は完治しました。 これらの背景には良好なセルフケアと定期的なプロフェッショナルケアによるところが大きく寄与していると思われます。さらに、タッチアップ*1直後に使用した歯磨剤中のフッ化物や、メインテナンス時のフッ化物塗布の局所応用が再石灰化をより促進したといえるのではないでしょうか。やLactobacillusなど)が生き残り、さらに酸を産生することで歯質がさらに脱灰し、う蝕が促進される(耐酸性ステージ)というものです。ホワイトニングには、この耐酸性能のある細菌を減少させる効果があると報告されています3。 また、う蝕は多因子性疾患といわれており、さまざまなリスク因子が影響します。ホワイトング直後は歯の表面のペリクルが一時的に消失します。このタイミングでフッ化物やCPP-ACPなどを歯面に塗布すると、歯質に効率的に浸透するので、再石灰化の促進、脱灰の抑制、結晶性の改善が期待でき4、う蝕予防にもつながります(図25)。52ホワイトニングでう蝕予防PART4What’s ホワイトニングプリベンション?
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