●高血圧症:降圧剤服用●前立腺肥大症:ユリーフ®錠4mg服用●脳梗塞:短期間、ワーファリン服用●前立腺がん:服用薬はとくになし[キーワード] マイクロスコープ、OHI、ライフステージ年齢、性別主訴全顎的な知覚過敏症状と歯肉からの出血喫煙禁煙して12年経過(以前は1日20本程度喫煙)今回症例を紹介してくれるのは……●臨床経験年数:20年目●2004年香川県歯科医療専門学校卒業●40歳●勤務形態:非常勤●所属学会・スタディグループ:日本歯周病学会、日本顕微鏡歯科学会、日本口腔インプラント学会、香川県歯科医療研鑽の会、MDH●医院紹介:「医院と医院に関わる全ての人が幸せであること」を理念とし、診療している。December 2023 vol.4767歳(2011年初診時)、男性症例をシェアして、ステップアップ!Sachi Matsuno香川大学前はこざき歯科医院[香川県]歯科衛生士 「歯科衛生士が拡大視野を臨床に取り入れる」と聞くと、どのような印象をもたれるでしょうか。「難しそう」「歯科医師が行うもの」と思われる一方で、「昨今ではあたりまえ!」と考える歯科衛生士さんもおられるかもしれません。筆者はその拡大視野を臨床に取り入れ、12年が経過しました。はじめは2.5倍のルーペを使用し、約1年後に3.5倍のルーペに変えました。そして、拡大視野があたりまえとなった約6年前に、マイクロスコープと出会いました。それからさまざまな治療で使えるようになるまで、実に5年の歳月を要しました。しかし、その日々の努力のおかげで、拡大視野での精密で確実な施術が可能となり、今では患者さんのモチベーションを向上させるための欠かせないツールとなっています(次ページ図1)。 本稿では、4年前の本欄(2019年2月号)で紹介した患者さんのその後の経過について、ライフステージの変化とマイクロスコープを使用するようになった筆者の成長を交えて再度報告します。 患者さんは初診時67歳でした。当時、全顎的な知覚過敏と歯肉からの出血を訴えて来院され、それまでに除石や口腔衛生指導(OHI)を受けた経験はありませんでした。広汎型重度慢性歯周炎(現在の広汎型重度歯周炎ステージⅢグレードB)と診断され、当時の院内のマニュアルに沿って歯周基本治療を行いSPTへ移行したものの、理想的な通院が実現しませんでした。そこで、院長と相談し、筆者が患者さんの担当になり、まずは信頼関係の構築を優先させることにしました。そして、医療面接を用いて、患者さんのことをさらに理解するように努めた結果、行動変容へ導くことができました。 その後、患者さんの脳梗塞やがんが発初診時の患者の基本情報全身的既往歴服用薬─拡大視野を臨床に取り入れる─Returns71松野 祥さんはじめに 初診から歯を1本も失うことなく治療が終了Case60マイクロスコープを用いたOHIでライフステージによる変化に対応した12年経過症例
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