第6回44で、どうするか。次のページへGo!71 前回に引き続き、「静岡県・さおりさん」の作品を謹んで斬らせていただきます。何度も言うようですが、中身はホント立派です。伝えたいこと・思いがものすごくしっかりと込められてます。さおりさんの努力と才能が、これでもかと詰まってます。……そこが「あちゃー」の元凶です。 人には、「キャパ」とゆーのがあるんです。専門知識を学んできた人、とくにさおりさんのように今もめっちゃ学び続けている人はどうしても、わかってもらいたい気持ちでいっぱいになります。で、押し付ける。押し付けてるつもりなんてなく、どうか受け取っていただきたいという謙虚な気持ちで差し上げているかのようでいて、押し付け。ものすごい量を。 想像してください。カゴも大きなリュックも持ってないじーさんばーさんに、形も大きさも違うお土産をどんどこどんどこ持たせて「はいさようなら」って、それはもはや、ゴーモンです(わかりますね? 拷問とか虐待とか書くと、生々しくて怖すぎるのでゴーモン)。いい人ほどやらかす、業題。とにもかくにも、数を減らしてください。情報の数は、少ないほうがいい。これは鉄則です。自分の気持ちを削るようで、難しい作業ではあるのですが、先ほど想像していただいたとおり、講演会場を出るか出ないかのうちに全部ひっくり返しちゃうのです。あるいは、それ以前に受け取り拒否。削ることが最大の親切だと思ってください。 ぼくの作っていた「ためしてガッテン」という番組では、43分もかけて「本気でわかってもらいたいこと」の数をどれくらいに絞ってたと思います? なんと2つです。一時期、3つにしてたのですが、それだと忙しくて薄っぺらになるので、2つに戻しました。「ガッテンガッテン!」するのは、1日2回がベストだったのです。の深い問※本連載で示すスライドはすべて掲載許可をいただいています。患者さんや地域の人びと向けに話す際に、めっちゃ便利なパワーポイント(パワポ)。「伝えたい、わかってもらいたい」と思いを込めてがんばって作ると、逆に伝わりにくくなることがあります。というより、とても多いです。せっかく作るなら、確実に伝わってほしい。そんな願いを叶える、プロの演出家直伝のテクニックです。Illustration:すぎやまえみこ北折 一Hajime KITAORI健康演出アドバイザー元NHK「ためしてガッテン」演出担当デスク1987年NHKに入局。1995年「ためしてガッテン」立ち上げに参加。以来18年間同番組の制作を続ける。2013年にNHKを退職後、健康演出アドバイザーとして主に健康教育分野で「人びとのよりよい生活のお手伝い」を目指し、講演・執筆活動を行っている。小社刊『歯科衛生士ブックレット Vol.1 説明のプロに聞く! メインテナンスの重要性をわかってもらうには!?』は、Amazon部門別で3ヵ月第1位を記録。January 2024 vol.48“もっと伝わる”「練る子は育つ」 その2 多芸多才…いえ、多字多難数字の数え方。いち、に、さん、たくさん。
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