歯科衛生士 2024年3月号
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62岡崎好秀Yoshihide OKAZAKI国立モンゴル医学科学大学客員教授歯科医師Illustrator:大橋明子TOPIC“あたりまえ”の理由を考えるのは、オモシロイ! 口の中は、“ふしぎ・ふしぎ”でいっぱいです。たとえば、離乳食前期には舌が前後運動をします。そして、中期には上下運動、後期には左右運動が可能となります。でも、どうして、この順番で発達するのでしょう? 上下運動から左右運動に変わり、最後に前後運動になってはダメなのでしょうか? はたまた、なぜ歯は臼歯ではなく前歯から生えるのでしょう? しかも、必ず下顎前歯から生えてきます。 これまでの書物では、これら素朴な疑問の解決には至りません。そもそも現代は、安易に正解を求める傾向が強くなっています。正解に早くたどり着くことが効率的と考えられがちです。そのため、本来大切にすべき「なぜかを考えるという過程」が抜け落ちています。 口腔機能には、正解が簡単に見つからない“ふしぎ”がたくさんあります。そこで、現在執筆中の『世界最強の歯科保健指導 下巻』では、筆者の雑学(本人は博学のつもり)や動物学から、あるいはヒトへの進化の過程から、さらにはこれまでの障害児の歯科診療の経験を通じ感じたことをふまえ、その“道しるべ”となるようまとめています。そのプロローグとして本稿では、お口と機能の“ふしぎ”を2回にわたってご紹介しましょう。お口の中は、ふしぎ “お口のふしぎ” 編

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