歯科衛生士 2024年3月号
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●臨床経験年数:12年目●2012年徳島大学歯学部口腔保健学科卒業●勤務形態:常勤●所属学会・スタディグループ:日本歯周病学会認定歯科衛生士、日本口腔検査学会●医院紹介:日本歯周病学会指導医の院長のもと、県内外から来院される患者さんのため歯周治療を主としてインプラントや矯正など幅広い治療に対応する歯科医院。77ブラッシング 日本歯周病学会認定研修施設でもある当院には、毎日たくさんの歯周病患者さんが来院されます。日々臨床に携今回症例を紹介してくれるのは……Kana Ueda医療法人こうの歯科医院[奈良県]歯科衛生士わるなかで、私たち歯科衛生士が思っているほど患者さんは歯周病を理解されていないと感じる場面が多々あります。“歯周病”という言葉自体は患者さんもご存じですが、どういう病気で、身体にどんな影響を及ぼすのか、生活習慣とどう関係しているのかまでご存じの患者さんはほんの一握りです。 こうした現状のなか、歯周基本治療において、私たち歯科衛生士は単にSRPを行えばいいというわけではありません。徹底したSRPをすることはもちろん、患者さんに正しい知識を伝え、生活習慣の改善を促してサポートしていく必要があります。生活習慣のなかで、とくに喫煙は歯周病を増悪させる環境因子の代表格です。歯周基本治療において、私たち歯科衛生士が積極的に禁煙支援に携わり、患者さんが禁煙することができるか否かで治療結果は大きく異なります。 そこで今回は、筆者が担当した症例のなかから、歯周基本治療と禁煙により重度歯周炎が改善した一症例を報告したいと思います。なお、本症例は第66回春季日本歯周病学会学術大会でポスター発表を行った症例に、その後の経過を追加したものです。 患者さんは、初診時(2018年7月)47歳の男性です。歯肉腫脹、口臭、下顎前歯の歯肉の状態が気になるという主訴で来院されました。次ページ図1~3に初診時の検査結果を示しMarch 2024 vol.4847歳(2018年7月初診時)、男性歯肉腫脹、口臭、下顎前歯の歯肉が気になる痛くなったときに痛い部位のみ治療とくになしあり(25年間20本/日)、1年半前よりアイコスも使用穏やかで、説明をよく聴いてくださるが、病院は苦手なようす。とくに歯科に対して、強い恐怖心がある。2回/日(朝・晩)、歯ブラシのみ使用[キーワード]歯周基本治療、禁煙、広汎型慢性歯周炎初診時の患者の基本情報年齢、性別主訴歯科的既往歴全身的既往歴禁煙歴性格はじめに1日約20本の喫煙を25年間続けていた患者さん症例をシェアして、ステップアップ!上田佳奈さん誌上歯周基本治療と禁煙により広汎型慢性歯周炎ステージⅢグレードCが改善した一症例

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