歯科衛生士 2024年4月号
8/9

●臨床経験年数:14年目●2024年徳島大学大学院口腔科学研究科博士後期課程卒業●36歳●勤務形態:常勤●所属学会・スタディグループ:日本歯周病学会(認定歯科衛生士)、日本口腔衛生学会(認定歯科衛生士)、日本歯科衛生学会、ジャパンオーラルヘルス学会(認定歯科衛生士)、四国歯学会●医院紹介:「生涯を通じて口腔の健康を維持し、健全な機能を全うする」を理念に掲げ、予防歯科を中心とし、歯科衛生士は担当制にて口腔健康管理に従事している。[キーワード]早期口腔管理、行動変容、う蝕管理79April 2024 vol.48 生涯にわたり口腔の健康を維持するためには、疾患の発症を予防し、患者さんの口腔の健康に対するモチベーションを高め、継続的に管理していくことが非常に重要であると考えます。現在、20~24歳の歯科検診受診率は各年代のなかでもっとも低いのが現状Ai Sakuma麻生歯科クリニック[静岡県]歯科衛生士ですが1、さまざまな分野に関心をもち、生活環境が変化し、疾患の罹患率も高まる非常に大切なこの時期に定期的に歯科に通院することができれば、疾患の発症を抑制し、生涯を通じて口腔の健康に導くことにつながると筆者は考えます。 当院は2009年に0歳からの口腔育成を目的とした小児歯科を分院として開院しました。幼少期から疾患のリスクを把握し、口腔内環境に合わせた予防方法を提案、実践することで、さまざまな疾患の発症を抑制でき、患者さんの成長に寄り添いながら、ともに歩むことにより、歯科医院に訪れることが「日常の習慣」となることを目指しています。 今回、幼少期から患者さんの生活背景に寄り添いながら口腔衛生指導を繰り返し行い、行動変容に至った症例をご紹介させていただきます。 患者さんは2009年、「学校の歯科検診でむし歯があると言われたので、確認してほしい」という主訴で保護者とともに来院されました。歯科的既往歴としては2年前(当時6歳)に就学前健診で他院を受診していましたが、継続通院には至らず、知人の紹介により当院の受診に至ったとのことでした。 初診時の口腔内状況は全顎的にプラーク付着を認め(次ページ図1)、PCR2は70.8%でした。ブラッシング状況は1日1回、朝食後に1分程度磨くのみで、フッ化物配合歯磨剤は使用しておらず、親による仕上げ磨きもなくセルフケアの確立ができていない状態でした。そのため、DEEEにC1を認め、ほかにも多数歯にわたりCO今回症例を紹介してくれるのは……8歳(2009年初診時)、男児学校の歯科検診でむし歯があると言われたので、確認してほしい他院にて就学前健診受診、定期健診には至らず症例をシェアして、ステップアップ!初診時の患者の基本情報年齢、性別主訴歯科的既往歴はじめにセルフケアが確立できず、フッ化物の使用も難しい患者さん佐久間 愛さん誌上幼少期から患者の生活背景に寄り添い、行動変容を導けた症例

元のページ  ../index.html#8

このブックを見る