赤ちゃんは、機嫌の良い時は下顎を固定し「アーアー」という声を出します。皆さんも、やってみましょう。そのままの状態で下顎を動かしてみてください。「アウ・アウ・アウ」と聞こえませんか。さらに、口唇を徐々に閉じていくと、「ンマ・ンマ・ンマ」となり、「マン・マン・マン」……そして「マンマ」と聞こえてきます。 前回(3月号)も触れましたが、離乳食初期は、口唇で離乳食を捕らえ、嚥下することを覚える時期です。つまり、口唇を閉じる力が強くなるから、「マンマ」の発音ができるのです。口唇を閉じないで「マ・ミ・ム・メ・モ」と言ってください。言えないはずです。「バ・ビ・ブ・ベ・ボ」はどうでしょう? さらに、「パ・ピ・プ・ペ・ポ」は? 「ファ・フィ・フゥ・フェ・フォ」は? すべて言えません。これらマ行・バ行・パ行・ファ行は、一瞬口唇を閉じなければならないので、口唇音(両唇音)といいます。 じつは、「マンマ」は、世界中のどの国でも「食べ物」や「母親」を意味します。これは、赤ちゃんが生きていくためにまず必要な言葉であると同時に、このように口腔機能の発達と深く関係しているのです。70赤ちゃんがはじめに発する「意味のある言葉」は、「マンマ」です。おもしろいことに、世界中のどの国の赤ちゃんも「マンマ」です。何か理由がありそうです。口唇を動かせるようになると、「マンマ」の発声ができるようになる!赤ちゃんのはじめての言葉が「マンマ」なのはなぜ?
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