歯科衛生士 2024年5月号
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61 歳(2021年初診時)、女性歯ぐきから血が出る、30代くらいまできれいな歯並びだったが、下の歯がずれてきた5年以上歯科受診なし。中学生くらいまで矯正をしていた高血圧、糖尿病(現在も内科通院中)両親ともに糖尿病降圧剤、糖尿病治療薬看護師●臨床経験年数:7年目●2018年三重県立公衆衛生学院卒業●27歳●勤務形態:常勤●所属学会・スタディグループ:日本歯周病学会●医院紹介:地域に寄り添える歯科医療を目指す歯科医院。とくに歯周基本治療に力を入れている。[キーワード]歯周基本治療、患者教育、自然歯牙移動Ayu Kobayashiもみの木歯科[三重県]歯科衛生士なかったようでした。口腔内に関しても、「知らないうちに前歯に隙間が開いてきたから」と数年ぶりの歯科受診でした。 以前、当院の先輩歯科衛生士に、歯周基本治療だけで歯列を改善した症例を見せてもらったことがあり、“炎症のコントロールをすれば、この患者さんの歯列も改善されるのではないか”と予想し、治療に介入していきました。 今回は、患者さんの主訴が術者の予想どおりに改善したことで、患者さんのモチベーションの維持につながり、スムースに治療介入できた症例を報告します。 初診時の口腔清掃状態は全顎的に不良で、歯肉の発赤・腫脹、また歯石沈着が認められました(次ページ図1)。とくに口蓋歯肉にテンションリッジがあり、口腔内が乾燥気味ということからも、口呼吸が考えられました。また、写真撮影の際、嚥下時に必ず舌が前に出てくることが気になりました。舌が大きく低位舌にも見られ、舌突出癖を予想しました。本人に自覚はなかったのですが、前歯の隙間が気になって、舌尖がいつもそこにいってしまうようでした。さらに、閉口時オトガイ部の緊張もあるようでした(次ページ図2)。 そのほか、下顎舌側部に骨隆起、犬歯関係Ⅱ級で臼歯部までおよぶ咬耗がみられることからも、歯ぎしり・食い歯科的既往歴全身的既往歴家族歴服用薬職業 本症例の患者さんは、初診時61歳の女性。職業は看護師で毎日忙しく、ご自身の身体のケアはあまりされてい今回症例を紹介してくれるのは……83May 2024 vol.48小林亜悠さん初診時の患者の基本情報年齢、性別主訴はじめに口腔清掃状態は不良で、力のコントロールも必要な患者さん症例をシェアして、ステップアップ!誌上歯周基本治療による治癒的自然移動が患者のモチベーション向上につながった症例

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