Journal of Aligner Orthodontics 日本版 2022年No.1
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Bärbl Reistenhofer, Fanny Triessnig, Katharina Besser翻訳:藤巻 良[東京都・青山アール矯正歯科]キーワード アライナー、Spee湾曲、過蓋咬合、InvisalignJournal of Aligner Orthodontics | 2022 vol.2 issue 1Bärbl Reistenhofer, Dr. med. univ. et med. dent; Orthodontist Private Practice, Vienna, Austria; Invisalign speaker; tutor of the postgraduate course for aligner therapy at the University Clinic of Dentistry ViennaFanny Triessnig, Dr. med. dent; Orthodontist Private Practice, Vienna, AustriaKatharina Besser Postgraduate student of the Master of Science Orthodontics, University of Bonn, GermanyCorrespondence to: Dr Bärbel Reistenhofer, Rooseveltplatz 12, A-1090 Vienna, Austria, Tel: +43/(1)/4077029, Fax: +43/(1)/4056696 E-Mail: baerbl@reistenhofer.at 成人における重度過蓋咬合の治療は難しく、可撤式のアライナーを使えばさらに難度は増す。本報では、重度過蓋咬合症例を6例報告する。患者は全員Invisalignシステムと、下顎犬歯の位置づけに特に配慮した同一のプロトコールを用いて治療を成功させることができた。ただアライナーを装着するだけでは強いSpee湾曲を改善することはできない。専用に設計されたアタッチメントなどの補助装置を用い、オーバーコレクションを意識的に行ったときにのみ、重度過蓋咬合の段階的な改善を成功させることができる。 審美的な需要の増加によって、多くの成人患者が目立たない装置を用いた矯正歯科治療を選択するようになっている。しかしアライナーを用いると、成人患者の重度過蓋咬合の治療はより難度が高くなる。アライナーに覆われることで臼歯部が圧下して咬合高径が低くなるバイトブロック効果が生じ、結果としてオーバーバイトが増大する可能性があるためである1。 Kriegerらによると、アライナーを用いた矯正歯科治療のオーバーバイトでは、達成された歯の動きと予測されたものとの偏差が最も大きかった2。重度過蓋咬合に対する治療効果の低さは、歯を挺出させる十分な力を発揮することがアライナーには難しいためと考えられる3。Kravitzらは2009年、可撤式のアライナーで行われる歯の移動のうち、最も精度が低いのは挺出であると述べている4。 Invisalignはその治療効果の低さに対処するため、垂直方向の動きをより適切にコントロールするさまざまな戦略を生み出した。それがバイトランプ、専用設計されたアタッチメント、そしてプレッシャーエリア ➡102ページ参照 である5。2017年Roozbehらは、Invisalignの技術的改善によって臼歯部の垂直的なコントロールがより行いやすくなったため、バイトブロック効果が自然発生してもアライナーを用いた重度過蓋Bärbl Reistenhofer39症例報告緒言アライナー型矯正装置を用いた重度過蓋咬合の治療

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