岡野修一郎、南舘崇夫、根岸慎一岡野修一郎岡野修一郎 Shuichiro Okano, D.D.S. Aligner Studio 〒151-0063 東京都渋谷区富ヶ谷1-32-22南舘崇夫 Takao Minamidate, D.D.S. 〒814-0031 福岡県福岡市早良区南庄6-11-20-102根岸慎一 Shinichi Negishi, D.D.S, Ph.D 日本大学松戸歯学部 歯科矯正学講座 〒270-8587 千葉県松戸市栄町西2-870-1 連絡先: 岡野修一郎 E-Mail: alignerstudio000@gmail.comJournal of Aligner Orthodontics | 2022 vol.2 issue 1キーワード AngleⅡ級2類、過蓋咬合、片側抜歯、リモートによる経過観察、Invisalign、DentalMonitoring 八重歯および前歯部の叢生を主訴とするAngleⅡ級2類、過蓋咬合症例に対して上下顎左側第一小臼歯抜歯、上顎右側臼歯部の遠心移動を計画し、Invisalignを用いて矯正歯科治療を行った。第1フェーズの初回アライナー55ステージ終了までの9か月間および第2フェーズの追加アライナー37ステージ終了までの6か月の経過観察は、すべて遠隔管理システムDental Monitoring(DentalMonitoring社)を使用し、対面での診察は一切行わなかった。遠隔経過管理のもと、動的治療開始後の通院回数は4回、動的治療期間は16か月で治療を終了した。アライナーを用いた小臼歯抜歯治療 Ⅱ級症例の遠心移動1,2や開咬症例3,4に対するアライナー矯正治療の再現性は、良好との報告は多く見られる。一方、小臼歯抜歯症例に関する報告も多数あるものの5-9、アライナーを用いた抜歯スペースの閉鎖に関してはその限界を指摘するものもある。報告によって治療計画立案やClinCheckデザインに関するコンセンサスはさまざまであり、予測実現性は必ずしも高いとはいえない。 Align Technology社が2015年に発表したInvisalign G6システムは、SmartForce機能がスペース閉鎖時の望まない歯の傾斜に抵抗し、大臼歯の固定源としての効果を最大限に高めることができるとされる10。しかしながら、G6による治療でリカバリーにマルチブラケット装置を一部用いた報告11や、臨床レベルにおいて通常アタッチメントと最適アタッチメントの有意差はないとする研究12もあり、その臨床上の再現性にばらつきがあると考えられる。アタッチメントについては他にも、垂直長方形型のアタッチメントで良好な結果が得られたとする報告9がある一方、垂直長方形の85日本版オリジナルページ 症例報告要約はじめにAngleⅡ級2類、過蓋咬合症例に対し行った片側抜歯治療と遠隔管理システムによる経過観察
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