Journal of Aligner Orthodontics 日本版 2022年No5
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Journal of Aligner Orthodontics 日本版 | 2022 vol.2 issue 5キーワード アライナー型矯正装置、過蓋咬合、ガミースマイル、切歯圧下、TAD後の下顎の前方成長が期待できない成人のこうした症例において著しい下顎後退が認められた場合、その矯正歯科治療では上顎前歯部に後方移動と圧下が同時に必要となる。歯の圧下は、歯冠の傾斜による相対的圧下と、歯根の歯軸方向への垂直的な移動による絶対的圧下に分類される。上顎前歯部の後方移動を必要とする成人の過蓋咬合症例では、絶対的圧下(垂直的圧下)である歯根の口蓋側へのトルクも必要になるが、アライナー型矯正装置単独での実現は難しい2,3。アライナー型矯正装置で絶対的圧下を達成するには、上顎前歯部のバイトランプ設置が第一選択になるが、咬合時の断続的なフォースシステムであり、予測実現性は低い。したがって、短期間で確実に絶対的圧下を達成するには、TADを固定源にした持続的な矯正力を発揮させるフォースシステムが必要となる。マルチブラケット装置では、上顎前歯歯槽部にTADを埋入し、エラスティックチェーンを掛けて圧下させることで、十分な効果が得られると報告されている4-9。 そこで本報では、過蓋咬合症例に対するアライナー型矯正装置においてもTADを併用した同様のメカニクスで治療を行い、良好な治療結果を得ることができた症例について報告する。Masashi Makino, DDSDoctor, Makino Orthodontic Clinic, Yachiyo, Chiba, JapanCorrespondence to: Dr Masashi Makino, Private practice, Makino Orthodontic Clinic, 1-2-19-201 Midorigaoka, Yachiyo, Chiba, 276-0049, Japan. Email: makino.ortho@gmail.com11牧野正志 上顎前歯部の後方移動が必要な成人の過蓋咬合症例に対して、アライナー型矯正装置のみで前歯部を垂直的圧下させることは難しい。本報で示す症例は、叢生とガミースマイルを主訴とするAngleⅡ級2類症例である。上顎前歯部歯肉にTAD (temporary anchorage devices、本症例では歯科矯正用アンカースクリュー)を埋入し、アライナー型矯正装置に設けたエラスティックカットとの間に顎間ゴムを掛けることによって上顎前歯部を圧下させている。 本報では、このメカニクスにより短期間で治療効果を得ることができた症例について報告する。 日本を含むアジア諸国においてAngleⅡ級症例は一般的であり、その多くにおいて過蓋咬合を併発する。中には、スマイル時に上顎前歯部歯肉が4mm以上露出するガミースマイルを呈していることもある1。今牧野正志症例報告緒言ガミースマイルをともなう過蓋咬合症例に対するTADを併用したアライナー矯正治療

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