Journal of Aligner Orthodontics 日本版 | 2022 vol.2 issue 51.診断および治療計画 患者は17歳女性、主訴は前歯部の叢生と咬み合わせの深さを改善したいということであった(図2)。上下顎前歯部に叢生が認められ、下顎前歯部は、咬合が深いために上顎前歯部によって隠れてしまっている。上顎歯列正中は顔面正中より右方へ偏位しており、上下の歯列正中は一致していない(図3)。咬合は右側犬歯がⅡ級、右側臼歯がⅠ級、左側は犬歯・臼歯ともにⅡ級関係であった。エックス線所見では上顎両側に第三大臼歯を認めるが、下顎両側第三大臼歯は先天的に欠損していることがわかった。またスマイル時の写真で上唇の位置と上顎前歯部の位置を検討したところ、上顎前歯部の圧下を行うと歯が口唇で隠れてしまい、審美性が損なわれると考えられた。そのため治療計画で図1 過蓋咬合症例の治療レベルの分類。想定される治療オプションを大まかに設定し、臨床に役立てている。は、上顎前歯部の圧下はほぼ行わず、初診時の上顎前歯部の垂直的な位置を維持すること、下顎前歯部のみに圧下を行うことを計画した。2.ClinCheckによる治療計画とステージング 通常、過蓋咬合の治療では前歯部の圧下を行う必要があるが、本症例では前述の理由から上顎前歯部の圧下をほぼ行わず、下顎4切歯の圧下後に犬歯の圧下を行うClinCheckを計画した。また上顎歯列の移動シミュレーション作成では、非抜歯で大臼歯を1歯ずつ遠心移動させる順次移動(シーケンシャルステージング)とした。本症例では、上顎側切歯の舌側傾斜により下顎頭や顎位が後方に移動しているため、1枚目のアライナーから上顎両側中切歯の傾斜移動を行うシLEVEL1LEVEL3LEVEL2LEVEL4LEVEL5LEVEL684上顎臼歯部の遠心移動前歯のトルクコントロール臼歯部の挺出前歯の圧下前歯のトルクコントロール臼歯部の挺出前歯の圧下スプリント治療日本版オリジナルページ前歯の圧下易しい ➡ 難易度 ➡ 難しい臼歯部の挺出前歯の圧下小臼歯の抜歯前歯のトルクコントロール臼歯部の挺出前歯の圧下顎関節治療前歯のトルクコントロール臼歯部の挺出前歯の圧下過蓋咬合治療 LV2前歯部圧下+臼歯部挺出
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