Journal of Aligner Orthodontics 日本版 2023年No1
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得意:前歯部の圧下とトルク苦手:臼歯部の圧下得意:臼歯部の圧下苦手:前歯部の圧下とトルクアライナー矯正治療における歯科矯正用アンカースクリューの併用方法(前編)有効となる。これは、マルチブラケット矯正治療と異なり前歯部に圧下や歯根のトルクを発揮させることが難しいからである5。 結局、マルチブラケット矯正装置は臼歯部の圧下が必要な開咬治療を、アライナー矯正装置は前歯部の圧下が必要な過蓋咬合治療を比較的不得意としているため、それをカバーするためにOASの適応症が異なるというわけである(図3)。マルチブラケット矯正装置アライナー型矯正装置歯科矯正用アンカースクリュー(OAS)得意:歯の圧下で改善を図るため、OASを用いて臼歯部を圧下する(図2)。これは、レベリングとともに臼歯部に咬頭干渉が発生し、下顎が時計方向に回転しやすいためである。一方でアライナー矯正治療の場合は、アライナーが歯の咬合面を覆う形状であるために臼歯部の圧下をアライナー単独で行うことができ、OASを併用する必要性は低くなる。各矯正装置とOASによる前歯部の圧下:アライナー矯正治療では、前歯部の圧下においてOASの併用が図2前歯部開咬をともなう骨格性II級症例において、臼歯部の圧下により下顎骨を反時計方向に回転させることで改善するメカニズム。マルチブラケット矯正治療ではOASが必要であるが、アライナー矯正治療であれば単独でも可能である。図3マルチブラケット矯正装置、アライナー型矯正装置とOASの相関図。OASの適応症は前歯部と臼歯部で逆になっている。(主に開咬症例)(主に過蓋咬合症例)91Journal of Aligner Orthodontics 日本版 | 2023 vol.3 issue 1

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