Babak Sayahpour, DDS Associate Professor, Department of Orthodontics, Goethe University Frankfurt, Frankfurt am Main, Germany Aleksandra Majdani, DDS Private practice, Hannover, GermanySara Eslami, DDS Private practice, Grafenberger Allee 57, 40237 Duesseldorf, Germany. Sarah Buehling, DDS Associate Professor, Department of Orthodontics, Goethe University Frankfurt, Frankfurt am Main, Germany Malcolm Goteni, DDS Private practice, Duesseldorf, Germany Stefan Kopp, DDS Professor and Head, Department of Orthodontics, Goethe University Frankfurt, Frankfurt am Main, Germany Correspondence to: Dr Sara Eslami Email: sara.eslami.sh@gmail.com 本症例は、Hyrax型急速拡大装置と小児用アライナー矯正治療システム ➡119ページ参照 であるInvisalign firstシステム(Align Technology社、米国・カリフォルニア州)を用いて、混合歯列初期の前歯部開咬に対してハイブリッド治療を行ったものである。ボンディング式のHyrax型急速拡大装置(Dentaurum社、ドイツ・バーデン・ヴュルテンベルク州、以下Hyrax)を装着して上顎を拡大し、Invisalign firstを用いて開咬を閉鎖した。いずれの問題も、このハイブリッド治療によって正常に解決された。予測可能な結果を得るためには、治療計画立案時にアライナーの限界と長所を考慮することが重要である。Invisalign firstを用いた前歯部開咬治療は予測可能性があり、本症例においても成功した。 かつては実験的で未来的な治療法として、限られた機能しかもたないと考えられていたアライナーは、現在、矯正歯科において一般的に用いられる矯正装置としてその役割を確立している1。この治療法に対する患者の認識や、矯正歯科治療における審美性、快適性、口腔衛生の向上に対する要求の高まりとともに、アライナー矯正治療の人気も高じている2。これは成人のみならず、10代の若者や小児においてもそうである3,4。Align Technology社は、混合歯列期の小児を対象とし早期治療用に設計されたアライナーシステムInvisalign firstを発表し、その市場を開拓している。 本症例報告は、ボンディング式HyraxとInvisalign firstを併用した早期治療の方法について報告するものである。Babak Sayahpour21Babak Sayahpour, Aleksandra Majdani, Sara Eslami, Sarah Buehling, Malcolm Goteni, Stefan Kopp 翻訳:小松昌平[日本大学松戸歯学部歯科矯正学講座]キーワード 審美、ClinCheck、エビデンスに基づく診療、成長期の患者、早期治療、Invisalign、混合歯列、開咬Journal of Aligner Orthodontics 日本版 | 2023 vol.3 issue 3 症例報告緒言混合歯列期におけるアライナーと急速拡大装置の併用による前歯部開咬治療
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